サブカルチャー聖地巡礼:アニメ聖地と戦国史蹟

由谷裕哉・佐藤喜久一郎著 岩田書院(361.5/Y)

テレビで、「アニメに登場する北関東某市の豆腐店を探し求めて海外からやってきた外国人に密着取材」という番組をやっていた。アニメファン恐るべし。その熱心さに驚いたり感心したり。好きな作品に入れ込む気持ちはよ~くわかる。本書は、アニメをはじめとするサブカルチャー関連の聖地を訪れる行為について、著者の専門分野である「民俗学」的見地から研究したもの。自分でも思い当たる節のあるサブカルファンの方、如何?(Y)

 

<役割語>小辞典

金水敏編 研究社(813.9/Y)

何やら難しそうな書名に、少女マンガの表紙とはこれ如何に? さて、役割語とは、例えば「自分」をあらわす言葉には「わたし」「わたくし」「あっし」「拙者」等、その使い方によって特定の人物像が浮かび上がってくる言葉を指すのだそうです。マンガの用例(イラスト付き!)もふんだんに取り入れられ、楽しみながら読める本。それにしても、改めて思うこと。日本語って本当に語彙が豊富ですね。(Y)

 

名画に見る男のファッション

中野京子著 角川書店(723/N)

絵画鑑賞に関してコンプレックスのある私にとって著者の一連の著作(『怖い絵』シリーズなど)は、その苦手意識を崩してくれるものだ。一枚の絵がこんなにたくさんのことを語ってくれるのかとびっくりしてしまう。今回、著者は男性ファッションに注目して名画を読み解く。男性の脚線美や恐ろしく先の尖った靴(どうやって足を入れるのだ!?)など新しい発見にワクワクしてしまう。問題はこの本を読んで、実物を見た気になってしまうこと?いやいや、この目で確かめるために美術展へ行かなくては。(M)

 

失職女子。

大和彩著 WAVE出版(366.2/Y)

著者は大学を卒業したら働いて自立するという固い決意のもと就職し、能力もキャリアもあったのに失職し、日々の生活にも事欠くようになってしまった。必死の求職活動、住まい探しなど数々の困難を乗り越えて、やっと生活保護を申請した日に「死ななかったお祝い」をした・・・。軽妙につづられているが内容は深刻である。自分が無用の存在とされているように感じ、死ぬことさえ考えた日々。著者は憲法25条の重みをかみしめる。「私は、生きて、最低限度の生活を営んでいいんだ」。厳しい就活を乗り越えてやっと就職してもそれで安心というわけにはいかなくなった現代では決して人ごとではない。(M)

 

非除染地帯:ルポ3.11後の森と川と海

平田剛士著  緑風出版(519.5/H)

東日本大震災から間もなく4年。原発事故による高濃度の放射能汚染のため除染対象から外れた福島県の「非除染地帯」は今どうなっているのだろうか?本書は現地を何度も訪れた著者によるルポ。放射性セシウムは、急増している野生動物の体内には今なお高濃度に蓄積され続け、森・川・海の様々な生き物の命の流れからも、決して消えてはいない。見えぬ危険に目を凝らし続ける人々の地道な努力は何にも代えがたいものだろう。異常事態を認識する感覚は何度でも研ぎ直す作業が必要、という著者の言葉を忘れてはならないのだ。(A)

 

粒でできた世界

結城千代子・田中幸著 太郎次郎社エディタス(429.1/Y)

「専門用語、数式なし」の「誰にでもわかる」数学や物理の本を読んでみては、しばしば期待を裏切られてきた。本が悪いというより私の強度な「筋金入り文系度」に本たちは太刀打ちできなかったのだろう。ではこの本も同じ?という疑念を一枚一枚はがしていくような本文とイラストの語る内容の明晰さ。薄くて(100ページ位)、子供向けファンタジー絵本みたいな可愛らしい表紙のこの小さな本の持つ「実力」をぜひ読んで試してみてください。(A) 

 
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