江戸の糞尿学

永井義男著 作品社(383.9/N)

顔をしかめてはいけません!これはとても大切なものについてのとても真面目な研究書。江戸の町がいかにこの貴重な資源をうまく使っていたことか。同時代のフランスなど比べものにならない。とはいっても、もちろん迷惑なこと、困ることもいろいろとある。豊富な図版と当時の文書がその様子をリアルに伝える-ので読む時間と場所はちょっと考えた方がいいかも。(M)

 

世界中から人身売買がなくならないのはなぜ?:子どもからおとなまで売り買いされているという真実

小島優、原由利子著 合同出版(368.4/K)

人身売買というと奴隷制が真っ先に思い浮かぶが、現代では実に様々な形で行われている。労働力、子ども兵、さらには養子という一見それとはわかりにくいもの、臓器売買のためなど。性別、年齢、国籍などによって人間に「値段」がつけられる。世界中で1230万人もの人が「売買」されているという。これは決して遠い世界の話ではなく、日本は人身売買の受け入れ大国なのだ。私たちの社会が人身売買という犠牲の上に成り立っている。最終章では私たちにできることを示している。 (M)   

 

室町時代の少女革命 : 『新蔵人』絵巻の世界

江口啓子(他)編 笠間書院(913.4/Mu74)

『少女革命』の文字は何やら某アニメのタイトルのよう...。それはさておき、男装の少女を主人公にした『新蔵人』絵巻は、平安時代の『とりかえばや物語』を思い出させる。現代にもこうした設定の作品は複数あるわけで。当時の女性たちが競って回し読みしたのだと思ったら、何となく親近感がわいてきた。なお、絵巻には現代語の吹き出しもあるので、マンガ感覚で楽しめます。(Y)

 

いっきに学び直す日本史 近代・現代[実用編]

安藤達朗著 東洋経済新報社(210.5/A)

中学校や高校で教わる歴史は、大体古代から始まって、時間切れのため幕末くらいで終了ということが多く、近代・現代については疎かったりする。かくいう私もその一人。今世界で起こっている様々な問題を理解するためにも、基礎的な知識はあったほうが良い。本書は、比較的わかりやすく書かれており、近代史・現代史の概観をつかむのに最適である。(Y)

 

シェイクスピア大図鑑

スタンリー・ウェルズほか著 三省堂(939M/Sh12)

これまで「哲学」「心理学」などのテーマで出版されたこの「大図鑑シリーズ」はいづれもヴィジュアルで可愛らしいイラストも多く絵本の様でありながら、豊富な内容が分かりやすく構成されて、どれも入門書としてうってつけ。この「シェイクスピア大図鑑」もしかりで、全作品について、各幕各場のストーリーの進行が年表形式でわかったり、作品の背景をキーワード化したり、もちろん作品中の名ゼリフも沢山登場し、シェイクスピアに親しむ入口が沢山用意されている。(A) 

 

戦地の図書館:海を越えた一億四千万冊

モリー・グプティル・マニング著 東京創元社(019/M)

第二次大戦中、ナチス・ドイツの発禁・焚書によって一億冊以上の本が消えていった。一方アメリカの図書館員たちは、全国から寄附された図書を戦地の兵士に送り続ける運動を続け、その冊数は一億四千万冊に及んだ。無類の読書家だったといわれるヒトラーとアメリカの「戦地の図書館運動」を支えるアメリカ人たち。両者とも「本の力」を知るゆえに、それを文字通りの「武器」として用いた。今の時代ならどうだったろうか?とも考えさせられるエピソード。(A)