すばらしい人体 : あなたの体をめぐる知的冒険 

山本健人著 ダイヤモンド社 (490.4/Y)

医療ドラマや映画作品は数多い。あのお馴染みのシーンが実際の医療現場では異なることもある。手術後意識が戻る場所は病室ではない。出生時検査の血液型は正しいとは限らない。人体に関する様々な機能のほか、レントゲン,ペニシリン,コロナ治療の必需品「パルスオキシメータ」の生みの親など、医学の進歩に貢献した偉人たち、およびその功績がどう生かされているか、どこからでも楽しく学べる。(Y)

 

ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした  

マーク・ボイル著 ; 吉田奈緒子訳 紀伊國屋書店(93N6./B69)

大学でビジネスを学んだ後、あえて「カネなし生活」を経験した著者が、また新たな試みを始めた。テクノロジーを使わないとなれば、想像通りやることはたくさんある。なのに、どこかゆったりとした時間の流れを感じた。突拍子もなく見える彼の行動は、自分の納得できる暮らしに近づくための道のりだという。だから、自分の暮らしに真剣に向き合い突き進む。納得できる暮らしとは?読めばヒントが得られるかも。(C)

 

差別はたいてい悪意のない人がする ー見えない排除に気づくための10章―

キム・ジヘ著 尹 怡景訳  大月書店 (361.8/K)

「誰かを差別しない可能性はほとんど存在しない」という著者の挙げる実例はどれも腑に落ちるものばかり。特に「みんなのトイレ」について考察する章は身近な問題でわかり易いが、それだけに向き合っている課題の複雑さがよくわかる。自分が縛られている固定観念や先入観にまず気づくことが、明るい道を開く第一歩であることは確かだろう。(A)

 

クオリアはどこからくるのか?: 統合情報理論のその先へ(岩波科学ライブラリー 308)

土屋 尚嗣著 岩波書店 (491.3/T)

i意識を研究するとはどういう事なのか。意識の中身(クオリア)と脳活動との関係を解明すべく、心理物理学、脳科学の知見を基に新たな方法を用いた研究内容を紹介している。本文中にQRコードを挿入して実験映像とリンクさせる試みは画期的で、新しい読書体験が楽しめます。また、本研究の意義の大きさは注目に値すると思います。先行研究の動物実験についても考えさせられました。(N)