アメリカに女性大統領は誕生するか

蓮見博昭著 日本評論社(367.25/H)

今年はアメリカ大統領選挙が行われるとあって、ニュースでもこの話題がよく取り上げられる。最有力候補といわれているのは民主党のヒラリー・クリントン。彼女が当選すれば、アメリカ初の女性大統領となる(あのアメリカで「初」というのが少々意外)。大統領選の行方は如何に。改選の年、非常にタイムリーな一冊。(Y)

 

シリア 戦場からの声:内戦2012-2015

桜木武史著 アルファベータブックス(292.82/S)

シリアからヨーロッパへ向かう難民があとをたたない。また、昨年はフランスのパリで、そして先月ベルギーのブリュッセルでは、大規模なテロ事件が発生したが、これらはシリアに本拠を置く過激派組織ISが関係しているようだ。シリアはいったいどうなってしまったのか。ニュースだけではわからないシリアの現在について、フリージャーナリストである著者の、現地からの貴重な報告。(Y)

 

法廷通訳人:裁判所で日本語と韓国語のあいだを行き来する

丁海玉著 港の人(327.6/T)

最近補充裁判員を主人公にした小説を読み、「言葉」を「正確」に伝えることがいかに難しいかを考えさせられた。普通の生活においてなら多少の思い違いは謝ればすむことも多いだろう。しかし裁判でのやりとりには人生がかかっている。日本語でも難しいというのにそれが外国語だったらどうか。被告人と裁判官、弁護人の間に立ってそれぞれの主張を誤りなく伝えなければならない。時には判決が重くなったのは通訳のせいだと責められる。そのようなことがあっても法廷で通訳を続ける支えとなるのは審理のあとでの感謝の言葉かもしれない。 (M)

 

見えない私の生活

新納季温子著 クリエイツかもがわ(369.2/N)

街中で白杖を持っている人を見かけてもなかなか声をかける勇気が出ない。普通に歩いているから声をかけるのはかえって迷惑かもしれないと無理に自分に言い聞かせたりする。そんな時でも本人はまわりの音を聞き逃さないように必死に歩いているかもしれないのだ。また杖を左右に振りながら歩くので結構肩が凝るという。そのため杖は軽いほうがよいようだが、丈夫でないと蹴飛ばされて折れてしまうこともある・・・などなど、目の見えない人の日常がどのようなものかが夫婦の会話をはさみつつ、とてもわかりやすく語られている。  (M)

 

哲学な日々:考えさせない時代に抗して

野矢茂樹著 講談社(104./N97)

哲学とは縁はないけれど、確かに考えることをしていないかも(雑念はあるが)、 という反省のもと、この本を手にしてみた。「哲学は体育に似ている」と著者。「考えさせない時代」に、ただ目標や効率を優先し、走り続ける日々に、立ち止まって考え問い直す哲学の姿勢はますます大切なのだが、立ち止まるにも相当な脚力が必要。哲学はその脚力を鍛える「実技」なのだ。走り続けるのを止めるのなんて無理、という人の日常にも、せめて哲学の「いっとき」が滑り込むるためのヒントに溢れた一冊。(A)

 

植物は<知性>をもっている

ステファノ・マンクーゾ+アレッサンドラ・ヴィオラ著 NHK出版(471.3/M)

人間とは全く異なる形ではあるが、植物も視覚、触覚、嗅覚、味覚、聴覚、といった「五感」を持っている。それどころか磁力や重力を感じ、危険な物質を感知するといったさらに15の繊細な感覚があるという。すると人間に特有と考えられてきた知性とはそもそも何なのだろうか?そしてまた、動物の有する他の能力も、人間とは異なる形で、植物が実現しているとしたら?本書を読んだ後、あなたはもう「畑の野菜も観葉植物ももう今までと同じ目では見られなくなる」(本書紹介文)かもしれない。(A)