自己探究チャレンジ(卒業課題)

多くの大学で卒業論文が選択制になるなか、本学では卒業論文の作成を必修としています。
それは、卒業論文作成を通して、社会で求められる論理的思考力や問題発見力、文章力などを高めることができるから。入学から卒業まで4年をかけて丁寧に指導を行います。学生全員が卒業論文を執筆し、その成果を発表します。
卒業論文のなかで、とくに優秀と認められたAA卒業論文は、毎年、社会・人文学会の機関誌『恵泉アカデミア』に収録されます。

卒業論文を書き上げるまで

学生にとって原稿用紙50枚以上、2万字以上の論文を書き上げることはなかなか大変なことですが、本学では1年次に入学した時点から4年次まで、一貫した少人数のゼミ指導体制をとって、段階的に丁寧に指導しています。

1年ゼミ 教養基礎演習

  • 社会の現象に広く視野をもつ
  • 意見と事実の違いを認識

2年ゼミ

  • 自身の関心に即して、社会的・文化的問題を探す

=Why? What?

3年ゼミ

  • テーマ確定
  • 問題解決の方法を学ぶ

=How?

4年ゼミ

  • 1~3年ゼミで培ったスキルの統合と応用

上記は学生が卒業論文を完成するまでの系統的な指導体制の一例です。教養教育の学びを基本として、さまざまな社会現象に広い視野をもち、「事実に基づいて思考を深める力」と「問題解決のための視点と方法を身につける」ことを大切にしています。
3年次後半からは就職活動をしながらの卒業論文執筆となりますので、学生たちは完成に至るまでに厳しい日々を重ねていくことになりますが、大学4年間の学びの集大成ができたという充実感を口にして卒業していく学生が大半です。

卒業論文提出風景
提出された卒業論文
優秀と認められた卒業論文が掲載される機関誌『恵泉アカデミア』

過去の卒業論文テーマ例(2017年度より抜粋)

  • アメリカ映画における日本語の吹き替えと字幕の相違について
  • 秩父方言についての一考察
  • 宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』 ―「伝記」としてのグスコーブドリ―
  • 授受動詞「もらう」のコロケーション的研究 ―元気をもらう?―
  • 『あさきゆめみし』における浮舟像 ―求められる〈人形〉からの脱却―
  • What impact did Christian supporters have on the lives of Japanese American college students after Pearl Harbor was attacked?
  • フィクションとノンフィクションが織り成す『イルストラード』の世界観 ―フィリピンとニューヨークを知る作家たちの思想―
  • ろうの親を持つ子どもの人権問題 ―「コーダ」のアイデンティティーの形成過程を中心に―
  • 日本による「植民地近代化」の二重性について ―在朝日本人の業務記録を中心に―
  • 地域おこしに必要な子どもの教育はどうあるべきか
  • 消滅可能性都市の希望 ~東京一極集中から見る日本の未来と地方都市存続のために中核都市が担うべき責任~
  • 恵泉女学園大学の教育農場の生物多様性に関する一考察
  • なぜ「土」に対するイメージが変化したのか
  • 独り言を言う人の特徴と独り言の効果

プロパガンダ研究の卒業論文作成を通してタイムマネジメント能力や英語力も向上

4年/取材当時
ゼミ:言語学・社会言語学

大学のプログラムや海外研修を通して中国人と韓国人の留学生と交流を深めるなかで、メディアの情報と真実が必ずしも一致しないことを知りました。
この経験から、メディアについて知りたいと考え広告のゼミへ。戦争のプロパガンダの手法が今も政治の分野で使われていると気づき、政治広告におけるプロパガンダを研究。戦時中の実例を明らかにし、選挙制度との関係性についても言及しました。大学院受験も重なっており、そのなかで文献を読み、パソコンに向かう時間を作りだして卒業論文作成を進めていたこともあり、タイムマネジメント能力と集中力も身についたと思います。

卒業論文テーマ

Propaganda in Political Advertising

  • What is Propaganda ?
  • Election of Japan
  • Election of the United States
  • Questionnaire about Barack Obama "HOPE" Poster

指導教授のアドバイスを受けてテーマをより深く追究できました

4年/取材当時
ゼミ:言語学・社会言語学

広告において、女性がどのように表現されているかをテーマに卒業論文を書きました。女性を扱った広告の背景に問題点があると考えたからです。例えば、広告の中で女性モデルの体が加工されることにより、それを見た女性に引き起こされる問題や、露出の多い服装をした若い女性の広告について検証。
研究で行き詰まったとき、指導教授から多角的に物事を見るようにとアドバイスを受け、視野を広げることで内容を深く掘り下げることができました。
英語での論文執筆は苦労したものの、書き進めるうちに英語力も向上し、英語への自信も身についたと感じています。

卒業論文テーマ

The Representation of Women in Advertising

  • Alteration on Advertising and its Effect on Women and Girls
  • Young Girls in Advertisement and Adverts Concept Effects on Children
  • Difficulties to Show Real Women Beauty

実習や講座で関心をもちテーマを設定卒業論文作成の経験を仕事に活かしたい

中澤 藍(4年/取材当時)
ゼミ:園芸学・庭園
長野・上田染谷丘高等学校 出身

多摩センター駅前の花壇づくりの経験から、ボーダー花壇に関心をもつようになりました。さらに、植物観察の講座では自生植物の美しさに気づき、花壇材料に利用できないかと考え卒業論文のテーマに。テーマ決めでは、指導教授が親身に相談にのってくださり、関心がある分野でテーマを設定できました。卒業論文作成はデータをもとに考察を繰り返し、難しい反面、自分らしい結論を出すことができ、自信につながったと感じています。
卒業後は神奈川県の植物園に就職します。さまざまな角度で植物をとらえながら、来園した方々に植物の美しさや魅力を伝えていきたいです。

卒業論文テーマ

国内のボーダーのデザイン的課題と自生植物の導入の検討
─恵泉女学園におけるボーダーの変遷を通して─

  • 近代イギリスにおける主な洋風花壇
  • 恵泉女学園におけるボーダーの変遷
  • 野生植物の実生栽培実験
  • ジーキルの花壇デザインに基づく花壇づくり