謎のアジア納豆:そして帰ってきた<日本納豆>

高野秀行著 新潮社(383.8/T)

なぜか納豆は人を分類する物差しになっているような気がする。関西の人は食べない、とか外国人が好きだとびっくりする、とか。その思い込みは冒頭から打破される。納豆は日本独自のものではない、というよりむしろ「アジア納豆文化圏」の中では日本は納豆に関して遅れているのかもしれない-そう考えた著者は納豆追跡の旅に出た。そして日本の納豆についても深く知ることになる。納豆ワンダーランド!(M)

 

はじめての批評:勇気を出して主張するための文章術

川崎昌平著 フィルムアート社(901.4/Ka97)

今や誰でもネット上に自分の「評」を発表することができる。それらのかなりのものが単に好き嫌いを述べたものであり、時には炎上を引き起こしたりする。しかし本当の批評というのは著者によれば、相手に新しい価値を伝えるものだ。怖がることなく自分の主張を言い表すための文章術を伝授する。(M)

 

雨ニモマケズ:外国人記者が伝えた東日本大震災

ルーシー・バーミンガム他著 えにし書房(369.3/B)

日本在住の二人の外国人ジャーナリストが、6名の被災者に取材したルポルタージュ。日本人が震災について書いた本はたくさん出ているものの、外国人の視点で一冊にまとめられたものは余りないのではないか。宮澤賢治の「雨ニモマケズ」から取った書名が実にいい。瓦礫の中、雨に打たれながら立ちあがろうとする人々の姿を彷彿とさせる。大震災から6年たった今だからこそ、読んでみたい。(Y)

 

イルカと日本人:追い込み漁の歴史と民俗

中村羊一郎著 吉川弘文館(664.9/N)

世界からイルカや鯨の漁が動物虐待であると非難されている。昔小学校の給食によく出てきた鯨はともかく、イルカが食用になることさえ知らなかった。思い浮かぶのは水族館のショーでの可愛い姿ばかりだが、イルカ漁が日本で古来から続けられてきたのはそれなりの意味があるはず。本書がそれを解き明かしてくれる。(Y)

 

ちいさい言語学者の冒険:子どもに学ぶことばの秘密

広瀬友紀著 岩波書店(801.04/H)

「これ食べたら死む?」(正しくは「死ぬ?」)。幼い子供の微笑ましい間違い?しかしこれにも、動詞変化の規則にのっとったはっきりとした理由がある。こどもが(大人にとっての)正しい言葉を話せるまでの「旅路」をたどることで沢山発見できる「ことばの秘密」。自分にもこんな時代が必ずあったのだ。すっかりわすれてしまったけれど。(A)

 

羊飼いの暮らし:イギリス湖水地方の四季

ジェイムズ・リーバンクス著 早川書房(645.4/R)

著者は600年に渡り代々続く湖水地方の羊飼い。日々休むことなく働く「本当の」羊飼いの生活が美しい湖水地方の四季の描写とともに語られ一方で「読書や勉強は恥」とされる「羊飼い」の世界から、あるきっかけで著者は大学に進み・・・といった多面的な興味が尽きないベストセラー。著者のツイッターでは、可愛い羊が沢山見られるそうです。(A)