100歳時代の新しい介護哲学 : 介護を仕事にした100人の理由

久田恵+花げし舎編著 現代書館(369.1/H)

介護職の人への聞き取りによるさまざまな声(身内の介護がきっかけの人、転職した人、新卒の人、それぞれの人生体験)をまとめたものである。デイサービスの車をよく見かけるが、小さく名称のみ書かれた送迎車で、おしゃれをして外出できるようにした起業者の話が印象的だった。1つの物語が1,2ページほどで、経験した職業が最初に記されていて、どこからでも読むことができる。(T)

 

ドローンの哲学 : 遠隔テクノロジーと「無人化」する戦争

グレゴワール・シャマユー著 明石書店(538.7/C)

ドローンを安全な部屋で操作する人がいる一方、遠い土地でその弾丸を受ける人がいる。戦争での関わりを中心に、技術が発達することで変わるものを心理、倫理、法、政治など様々な面から提起している。身近になるドローンと、どう向き合って行くかを考えるためにおすすめです。(C)

 

わたしの町は戦場になった:シリア内戦下を生きた少女の四年間

ミリアム・ラウィック、フィリップ・ロブジョワ著著 東京創元社(292.82/R)

シリアをめぐる状況はあまりに複雑でどの勢力が「正しい」のかわからない。そもそも「正しい」勢力があるのかどうかも。ネットには廃墟となってしまった街の画像があり、ここがかつては美しい景観で有名だったところだとは想像できない。爆撃が日常となっても人々はそこで生活をし、子どもたちは学校に通っている。マララさんが訴えたように1本のペン、1冊の本でも世界を救うことができるのだから。  (M)

 

働く女子と罪悪感:「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる

浜田敬子著 集英社(366.3/H)

なぜ女性というだけで普通に仕事を続けることが難しいのか。しっかり働けば「バリキャリ」と揶揄するようなニュアンスで言われる。一方、母親であれば子育てに伴う急な休みなどで肩身の狭い思いをさせられる。それはいわゆる「均等法世代」の著者の時代ともあまり変わっていないように思える。なぜ変わらないのか、どうやったら変えられるか。本書は今悩んでいる若い世代への著者からのメッセージである。(M)

 

10代からの社会学図鑑

クリス・ユール&クリストファー・ソープ著 三省堂(361/Y)

個人的なものと思い込み抱え込んでいた悩みが社会の抱える問題の一部だと気づくと、それまでと違った解決の道が開けていくかもしれない。社会学の取り組むテーマをその歴史的背景からヴィジュアルに分かりやすく解説してくれる本書はそのような「気づき」の心強い手助けになる。10代から様々な人生の段階できっと役に立つ永久保存版。 (A)

 

わたしは13歳、シリア難民。:故郷が戦場になった子どもたち 

認定NPO法人国境なき子どもたち(KnK)編著 合同出版(369.3/K)

本書は紛争により隣国ヨルダンに避難してきたシリア難民の子供たちの様子を伝えている。シリア紛争が始まって8年近くなる、ということにやはり東日本大震災のことを思いださずにはいられない。遠い国の戦争による人災であろうと自然災害であろうと、大切な人の死や身一つで避難してきた場所での不自由な暮しや、故郷に戻ることの難しさ、教育の困難などそれによって子どもたちがこうむる苦難は同じだと気づかされる。それゆえに私たちにできることもあるのだということも。(A)