カウンターだより

本に囲まれて過ごす図書館スタッフの、日々のつぶやきです。感想は直接カウンターまでどうぞ。

「妄想イチゴ」

2021年09月06日

園芸の授業がある大学で働きながら、普段は植物といえばミニサボテン一鉢(前は二鉢だった)と過ごしている私でしたが、コロナ禍の引きこもりの今夏には、ご多分にもれず、「にわか植物愛好者」となりました。ずいぶん前に枯れた鉢の土を使い、種を蒔いたハーブやスプラウトは予想以上にすくすくと育ち、毎朝その成長を見る楽しみができました。

そんなある日、雑貨の売り場で偶然見つけたのが「ペットボトルの水栽培キット」です。

これは水を入れたペットボトルの蓋を外したところに種を蒔いたキットをはめ込み、水が吸い上げられる状態で植物を育てるというもので、いかにも「植物愛好初心者」向けに作られた商品という感じですが、育てられる植物の種類がミニトマトなどかなり色々な食べられる野菜が含まれ「え?本当にこんなものも?」というものも結構ありました。しかしそこが「にわか植物愛好者」にありがちな、好奇心と、期待感にあらがえないところで、つい買ってしまうわけです。しかも私が買ったのは「え?こんなものも」の中でも最たるものと思われる「イチゴ」。「イチゴってたしか春のような・・・」と思いつつも、説明書のペットボトルの先端にたわわに実るイチゴの写真を見ると、「ひょっとするとほんとに収穫できるかも」などと思ったりして。さっそく家にあった空のペットボトルを使ってキットをセット。「芽がでるのは3から5週間後です」という説明を読み、まだずっと先かー、などと思いつつ1週間ほど経ったある日。とても小さいけれど何本か双葉がでているのを発見してびっくり。思ったより成長が早いし、たわわに実るイチゴのあの写真が急速に現実性を帯びてきたように感じました。しかし・・・。それからは進展なし。毎朝目をこらしても双葉状態からなんらかの変化を見てとることはできません。夏も終盤に近くなり、元気だったハーブたちも収穫期を終えたころ、あの小さい双葉もそのまま乾燥化しているように明らかに見えてきました。もはやこれまでか・・・。たわわに実るイチゴの妄想は妄想のままで終わった夏でした。それでも植物と暮らす楽しさは多少なりとも心に残り、今はこれからの季節にともに過ごしたい植物を少々検討中です。(A

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