セラピスト

最相葉月著 新潮社(146.8/Sa22)

「守秘義務に守られたカウンセリングの世界では何が起きているのか。」この問いをきっかけに著者は、心理療法を新たに大学で学び、自ら「箱庭療法」「絵画療法」などのカウンセリングも体験し、自身の内面とも向き合いながら、カウンセリングの諸問題を探っていく。最後の章では著者自身の「心の病」も判明するに至る本書は、真の「セラピスト」であることの難しさ、奥深さに気付かされながら、思わず読むことに引き込まれてしまう緊張感に満ちている。(A)

 

人間は料理をする 上・下 

マイケル・ポーラン著 NTT出版(596/P)

草食動物は4つもある胃袋で腸内発酵し、草を効率的に消化できる。一方胃袋が一つしかない人間は、草を発酵させ膨らませ、食べ易くする方法を発明した。つまりパン。この様に料理とは「食材を栄養のある魅力的な食べ物に変える技術」であり、古代の「4元素」、火、水、空気、土が深く関わっているとのこと。と言っても、内容はあくまで実践的かつ美味しそう。バーベキュー(火)、煮込み料理(水)、パン(空気)、発酵食品(土)の本物の味を求めて、著者の出会いと思索の旅が進んでいく。(A)

 

なぜ独裁はなくならないのか:世界の動きと独裁者インタビュー 

千野境子著 国土社(313.8/C)

独裁はいやだ、民主主義が理想だと思っていても、例えば、世の中が不正だらけで政治家も自分の利益しか考えていないと思われるとき、心のどこかで「正しくて」「強い」カリスマ性をもった人が現れて世の中を正してくれないかと願わないだろうか。一方、独裁者が倒れれば、国民は圧制から解放され、民主主義が復活するだろうか。答えは見つからない。著者は民主主義をきちんと機能させるには努力が必要で、それは私たちひとりひとりに課せられていると述べる。(M)

 

お茶の歴史

ヘレン・サベリ著 原書房(383.8/S)

世界中のあらゆるところで飲まれているお茶。味も飲み方も世界各地で異なるが、全てチャノキという植物を加工して作られている-こんなものが他にあるだろうか。例えばお酒ならぶどうやら麦やら米やら・・・と原材料はいろいろである。本書はそんなお茶についての世界史。写真も豊富で、中でもトゥアレグ族の男性がお茶を注いでいる写真には某人気刑事ドラマの1シーンを思い浮かべる人も多いのでは?(M)

 

食彩の文学事典

重金敦之著 講談社(910.26/Sh28)

「食」という切り口から文学を眺めてみれば...。日本文学には、頻繁に「食」のシーンが登場する。本書で取り上げられた作品は『吾輩は猫である』(夏目漱石)や『キッチン』(吉本ばなな)、250冊。目次には、雑煮やうどん、タコ焼きなど、私たちに馴染みの深い料理や食材がずらっと並び、文字を見ただけで食欲をそそる。本書をきっかけに、作品そのものを読んでみたくなるかも。(Y)

 

農と言える日本人 : 福島発・農業の復興へ

野中昌法著 コモンズ(612.1/N)

先日スプリング・フェスティバルで福島の産地直送の野菜を買った。農家の方々が丹精込めて作られたもので、大変美味しく頂いた。さて、著者はあの3.11のあと、福島に250回も通って、被災地の農家と直に接し、生の声を聞いているだけに、説得力がある。風評被害に苦しむ中、復興に向けて頑張っている人たちがいる。では、私たち消費者が微力ながらできることは?(Y)

 
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