新入生・在学生・卒業生の皆さまへ

2020年04月20日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

新入生・在学生の皆さま

いかがお過ごしでしょうか? 体調に変わりはありませんか?
外出自粛を守っていらっしゃいますか?

外は春爛漫。いつもならうららかな日射しのもと、キャンパスで、インカレ(インターカレッジ:他大との交流)で、あるいはバイト先で、生き生きと活動していらっしゃることでしょう。そんな若い皆さまに行動制限がかかっていること、本当に胸がいたみます。
つらいことと思いますが、今はどうか自制しましょう。長い長い皆さまの大切な未来のための、ここしばらくの我慢です。

大学は5月11日からスタート予定ですが、さまざまな状況を考慮し、オンライン化で実施することを決定し、学生の皆さまにも連絡が届いていると思います。それに関連して大学や学科の先生方からさまざまな連絡がいきますので、@Kや大学HPをぜひ、こまめにチェックしていらしてください。
皆さま、そしてご家族のご健康を心からお祈りしております。

卒業生の皆さま

お元気でいらっしゃいますでしょうか?
今日は皆さまへ、私の本の出版のお知らせです。
今年の1月から3月にかけて「卒業生・社会人のための生涯就業力講座2019」を開催いたしました。

テーマは「子どもを伸ばす母親の自己肯定感」でしたが、その折、参加者の方々からぜひ本にしてほしいというお声をたくさんいただきました。

そのご要望にお応えして拙著『もう悩まない!自己肯定感で幸せ子育て』(河出書房新社)を執筆いたしました。母となった女性のための女性としての生き方について、書かせていただきました。お読みいただければ幸いです。

なお、<終わりに>に本書への私の思いを記しましたので、ご参考になさってください。

たゆたえども 沈まず

子どもとの縁を一生かけて大切に育んでいくために、ときに迂遠に思える道を焦らず、あきらめずに進んでいくために、最後に"たゆたえども沈まず"という言葉(パリ市20の行政区のすべての紋章に刻まれている)を皆さまに贈りたいと思います。(中略)子育て真っ最中の皆様は、今、まさに荒波にもまれているような心境かもしれません。人生は晴れの日ばかりではない、むしろ波風に揺れる日が少なくありません。私も同じような時を重ねてきました。二人の娘たちが幼かった頃、私もまだ若く、母親としても、仕事のことでも、人間関係でも迷わない日はありませんでした。でも、人生は荒れているだけではない、必ず晴れの日が訪れます。その時は苦しくて、先が見えなく思うこともあるでしょう。そんな時は波に身を任せていればいい。揺れていることも人生の力です。それが沈まない力です。沈みさえしなければ、必ず、船も人も前進するということが、"たゆたえども沈まず"の言葉が伝えてくれているのです。
子育てに悩み、揺れていいのです。迷うことのない母親が立派な子育てができるとは限りません。子育てに悩み、揺れるのは、それだけ真剣に子どものことを思っているからです。流れに抗うことだけが術ではありません。抗わずに揺れる時も大切です。揺れる心は立ち止まる慎重さをもたらしてくれます。揺れるからこそ、自分の足元や周囲を見つめる冷静さと、周囲の方々の力をお借りし、共に生きる謙虚な心が芽生えることでしょう。そうした力を蓄えながら前に向かって一歩一歩進む母親の姿こそ、子どもにとって明日を生きる大きな力となることでしょう。
苦難の歴史を持ちつつも燦然と輝く花の都、世界中の人々が憧れるパリのように、子育ての日々はいつかかならずやまぶしく美しい輝きとして実を結び、花開くことを信じてください。何よりも、傍らにいる子どもたちは間違いなく、日々、たしかに前進していることを信じたいと思います。

<参考>

4月に入っての「学長の部屋」の掲載は変則になっております。
これまでの一覧は下記の通りです。

  1. 2020/4/2 新入生・保証人に皆さまへ~学長からのビデオメッセージ
  2. 2020/4/2 在学生の皆さまへ~学長からのビデオメッセージ~
  3. 2020/4/6 新入生と在学生に向けて
  4. 2020/4/13 再び、新入生・在学生の皆さまへ~外出自粛要請下で~
  5. 2020/4/13 子育てを頑張っている卒業生の皆さまへ