民主主義ってなんだ  声をあげる若者たち 国際社会学科

2015年12月21日
 ゼミ/授業名:国際社会学科 1年合同アクティブ・ラーニング

 今年の夏は国会前だけでなく各地で若者によって安保法案に対する抗議行動など繰り広げられました。言論の自由は憲法で保証された基本的な人権のひとつですので、これらは民主主義国家においては異常ではなく普通の行動だと思います。そこで、国際社会学科の1年生教養基礎演習では、アクティブ・ラーニングの形式をとり、他の国や違う時代において若者はどのように民主主義に積極的に関わる行動を起こしていたのか、グループで調べて発表しました。
まずは、各演習クラスから代表がでて、全体を5グループに分け、それぞれがテーマについて調べ、まとめたものを発表します。調べ方についてはアドバイザーの教員に本やDVDなどを借りたりしつつ、お互いに協力し合ってまとめました。

チームA 「アメリカ オキュパイ運動」
 2011年9月17日よりアメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン区のズコッティ公園で野営を始め、アメリカ経済界、政界に対する一連の抗議運動を主催する団体名オキュパイ運動(Occupy Wall Street・ウォール街を占拠せよ)、またはその合言葉。動画によって掛け声など紹介し、今は衰退しているが、「99%の私たち」数千万の人々がアメリカ企業と金持ちにより搾取されている認識を浸透させたことに意義がある。

チームB 「世界の1968年」
 若者たちの運動は今に始まったことでなく、ベトナム戦争やアフリカ・アジアの植民地独立運動がおこる1960年から70年にかけても世界的に若者の異議申し立て運動があったことを、ドイツ、アメリカ、フランス、日本を事例に紹介。その後の社会への影響は、大学の自治への学生参加や大量生産・大量消費からエコロジーや持続可能などライフスタイルの価値観を変容させたことが解った。

チームC 「香港アンブレラと台湾ひまわり」
 2014年9月26日より香港で行われた「雨傘革命」(Umbrella Revolution)/「雨傘運動」(Umbrella Movement)と呼ばれる運動は、香港の高校生と大学生を中心とした、授業のボイコット及び「真の普通選挙」を求めるデモ。2014年3月18日に、台湾の学生と市民らが、立法院を占拠し、台中間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」に反対する社会運動。どちらも丁寧に中国との関係を解説し、自分たちの意見を強く主張する現代の香港と台湾の若者の姿を映しだした。

チームD 「韓国 1980年代民主化運動」
 韓国の今の社会が創られた歴史背景として1980年代民主化運動を避けて語ることはできない。1979年の朴正煕大統領の暗殺後、「ソウルの春」と呼ばれる民主化、1980年5月18日から27日にかけて光州市を中心として起きた民衆の蜂起「光州事件」、1987年の民主化宣言までを、当時の写真をみながら、多大な犠牲を払いつつ民衆の力で勝ち取った民主主義を提示した。

チームE 「日本 2015年SEALDs」
 SEALDs(Students Emergency Action for Liberal Democracy - s)は、10代から20代前半の若い世代が担い手となった、自由で民主的な日本を守るための学生による緊急アクションで、安保法案に対する抗議活動で有名になった。若い世代が堂々と政治的活動をすること、意思を表明することが日本で展開されたことは世界的にも注目を浴びた。彼らの実際のアクションと伝えたかった内容を有名なコールで再現し、紹介した。

どの発表も、各チームで話し合い、どうしたら理解してもらえるか伝える工夫が考えられた発表でした。他の発表を聞きながら、プレゼンテーションの工夫など伝える力、そしてなによりも民主主義が自分たちの意見を表明することに根差していることを実感した合同ゼミとなりました。アクティブ・ラーニングは教員からの講義を一方的に聞くのではなく、自分たちで調べて、理解して、考える授業で、学生の潜在力の高さに魅せられます。国際社会学科は1年の夏休みから語学研修等海外へ学びに行く学生が多くいます。海外に行ったとき、日本で海外出身の方に会うとき、多文化や社会的背景を知っていることはグローバルな教養として必須です。そんな必須の教養を修得できたアクティブ・ラーニングでした。

担当教員:定松文

成人式や七五三はいつから「すべき儀式」となり、服装の決まりができてきたのでしょうか。私たちの日常にある儀式や伝統、規範や「らしさ」は、ほとんどが「新しい」ものであり、社会的につくられたものです。社会的に創られた過程と背景を「ジェンダー」や「マイノリティ」の視点から考えてみたいと思います。

定松文