恵泉「生涯就業力」が国会へ。そして、地域の方々のもとへ

2023年03月20日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

3月9日、参議院予算委員会公聴会(社会保障・少子化対策・教育)で参考人として意見陳述をしてまいりした。
目下、現金給付や財源確保などについて鋭意議論が交わされていますが、それが真の少子化対策となるためにも、まず「子育てを社会全体で支える」とはどういうことか?について徹底した議論とコンセンサスの必要性を訴え、その観点から、「子育て観の見直し」「女性活躍に新たな道筋をつけること」「子育てを支える地域の人材養成」の3点について、女子教育と子育て支援の両方の現場に立つ者として意見を述べました。

女性活躍については、日本社会で女性が置かれている現状の厳しさとその打開策に焦点を当て、新たな女性活躍像として本学が注力している「分かち合いのリーダー」と「生涯就業力」について紹介したところ、議場の議員から大きな賛同と評価をいただきました。

質疑応答の時間に、河井道先生のお言葉「まっすぐな狭い道を歩くこと、人々が踏みならした道を行くことに満足せずに、自分自身開拓者となって道を明るく照らしていく者におなりなさい」を引用して、私が述べたこれからの女性活躍のあり方を評価してくださった議員がおられたことは大変嬉しいことでした。
また、公聴会終了後も、10数名の議員が私を囲んでくださり、「恵泉女学園大学は素晴らしい教育をしておられますね」「分かち合いのリーダー・生涯就業力はまさに今、求められていると感じました」等の言葉を届けてくださいました。

そして、翌々日の3月11日は、先日もこのブログでご案内した「社会人(卒業生)のための生涯就業力講座」でした。

会場となった子育てひろばあい・ぽーと(港区外苑前)では対面で、あと2か所のあい・ぽーと(千代田麹町と港区表参道)からは中継で、それ以外の方々はオンラインで、という形でたくさんの方々にご参加いただきました。

テーマは「母性と女性の人生~今、これからをあなたらしく~」でしたが、自分らしく生きることへの戸惑いと難しさについて、いくつかご質問をいただきました。
その中で、次のお声がとりわけ心に残りました。

夫の転勤に伴って10年近く海外で暮らし、帰国してから受けた企業の採用面接で聞かれたことは、「あなたは大学で何を学んだか」だけだった。大学を卒業後、子育てや海外で得た経験にはまったく関心が払われなかった。この10数年の私の時間は空白のような扱いだった・・・。

静かな中にも怒りを込めた発言でした。

さまざまなライフイベントで、生き方に変更を余儀なくされる女性の人生。そうであればこそ、その時々の課題をしなやかに強く乗り越えてきた女性たちの力を社会はもっと評価すべきです。
「生涯就業力」・・・"何があっても、生涯にわたって自分らしく生きる目標を忘れず、自分を大切にする。自分の大切さを知った人であるからこそ、同じように他者の存在を尊重し、他者との共生の心をもって、地域・社会に尽くすことに喜びを見出して生きていける"力が、さらに社会に認知される必要性と共に、そのたしかな手応えを感じた2日間でした。