卒業シーズンを迎えて

2023年03月06日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

風の冷たさはまだ残っていますが、やわらかな陽ざしの中に春の訪れが感じられる頃となりました。今月は卒業に関わるいろいろな行事が行われる月ですが、今回はその前に、先月、行われた「卒業リトリート」についてご報告をさせていただきます。

「卒業リトリート」とは、卒業していく学生たちが、恵泉での日々を教職員と共に振り返り、大学生活で培ったものを改めて受け止め、社会に出てゆく備えの時としてほしいとの願いをこめて、毎年、キリスト教センターが中心となって行っているものです。

今年のテーマは「こんなはずじゃなかった!!~お、想像以上。~」でした。

この日は開会祈祷に続いて、グループに分かれて思い出を振り返る「恵泉スゴロク」。人々に自分の思いを伝えるときに大切なことを気づかされたワークショップ①「流れ星」や、それぞれの価値観をランキング形式で共有し、自分の思いを再確認しつつ新たな発見のあったワークショップ②「私の大切なもの」。二人一組で語り合った「アフタヌーンデート」。小さなケースを作って、大切な聖書の言葉をそこに入れて贈り合った「想い出制作」。過去の自分へ手紙を書く時間もありました。最後に、4年間を振り返り、「私にとっての恵泉とは」を参加者の皆で分かち合い、教職員からは巣立っていく学生に聖書の言葉が贈られました。
私はこの日は会議続きで、ほんの短い時間の参加となりましたが、学生、教職員が互いを思いやる温かな空気に充ちて、恵泉スピリットに深く包まれ心癒されるひと時でした。

3名の実行委員の学生と共に、今年の「卒業リトリート」を企画実施された宇野緑先生にメッセージと当日の写真をいただきました。

宇野緑(キリスト教教育主任)

例年であれば1泊2日でゆっくりと交わりを深めているプログラムなのですが、今年もコロナ禍の影響もあって、学内で1日プログラムとなりました。この2年間は、ただでさえ様々なプログラムが中止となっていたため、せめて卒業前に恵泉での日々を振り返る時間を共有したい、という願いもあり、数時間でしたが、日頃キリスト教センターで活動していた学生たちに呼びかけ、ミニ卒業リトリートを行いました。1日プログラムとして実行できたことは嬉しい限りです。

当日も豊かなひと時ではありましたが、わたしが声をかけて集ってくれた実行委員と準備を重ねる時間も心あたたまるひと時でした。大学生活最後のプログラムの企画者として、和気藹々と誠実に内容を詰めていってくれました。
今年のテーマである「こんなはずじゃなかった!!~お、想像以上。~」も、話し合いの中から生まれたものです。現4年生は順調に過ごした1年次を経て、よしこれから!というときに社会状況は一変。思い通りに進まない日々の中で悶々と過ごしていたことでしょう。しかし、できない、行けない、会えない、そのような中から新しい視点を見出し、今だからこそ得ることのできたことを、どこかで聞いたことのあるフレーズを少し文字って「お、想像以上。」と表現しました。このようなしなやかさが彼女たちの中で育まれていることに喜びを感じました。

当日は限られた参加者ではありましたが、「恵泉で過ごした」という共通点をもった友の語る言葉に共感し、慰められ、励まされた時間となりました。あの空間に一教職員として参加できたことは、まさに恵泉のこころに触れることのできたひと時であり、感謝の思いでいっぱいになりました。新しい一歩を踏み出す卒業生一人ひとりの心にある恵泉スピリットがどんなときも彼女らを支え、励まし、導きを与えてくれますように祈っています。

来年こそは夜通し語り合うことができることを願いつつ・・・。

【当日の模様】

実行委員手作りの恵泉スゴロク
スゴロクを通して思い出シェア
スゴロクを通して思い出シェア
小さなケースを作って、大切な聖書の言葉をそこに入れて贈り合いました
小さなケースを作って、大切な聖書の言葉をそこに入れて贈り合いました
受け取ったものを発表
みんなの作品です
最後に参加者と記念撮影