2022年度9月卒業式のご報告

2022年09月26日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

先々週末から先週初めにかけては秋の連休もありましたが、日本を縦断する大型台風14号に翻弄されてご予定を変更された方も少なくなかったことと思います。なにより各地で被害に遭われた皆さまには心からお見舞いを申し上げます。

さて、大学では9月15日に2022年度9月卒業式を下記の通り執り行いましたので、ここにご報告いたします。

卒業式 次第

司会:副学長 藤田智
奏楽:大学オルガニスト 関本恵美子
前奏
賛美:讃美歌21 557番
聖書 エレミヤ書29章11節:キリスト教教育主任 宇野緑
祈祷:同上
卒業証書・学位記授与:学長 大日向雅美、副学長 稲本万里子
式辞 「恵泉ブランドを胸にはばたいて」:学長 大日向雅美
後奏

式辞:「恵泉ブランドを胸にはばたいて」

学部のご卒業、大学院のご修了、おめでとうございます。
卒業式・学位授与式に、恵泉での学びを終えて巣立っていかれる皆さまの前途を祝して式辞を述べさせていただきますが、9月の式辞の「おめでとうございます」には、3月の時と少し異なる思いがあります。「おめでとうございます」と共に「本当によく頑張られましたね」との思いがひときわ強いことを感じます。友人の多くが3月に卒業していく中、皆さまはお一人おひとりの事情と向き合いながら、よく目標を達成なさいました。

本日の式辞タイトルの中の言葉、「恵泉ブランド」とは、これまで幾度もお聞きになったことと思いますが、「いつ、何があっても、自分の目標を見失わず、しなやかに凛としていきていく」という生涯就業力に他なりません。それを皆さまは今日、ここにしっかりと実現してみせてくださったのです。どうかこの先も、この言葉をご自身に重ねて、誇りをもって社会に羽ばたいてください。
皆さまがこれからどんな活躍をしてくださるのかを想像しながら、お一人おひとりの人生がかけがえのない幸せに満たされることを願うのも、式辞を述べるときの常です。それは例えて言えば、映画のエンドロールを見るような思いです。
私は映画を見るのが好きで、コロナ禍の前は映画館にもよく足を運んでおりました。
映画を見る楽しみの一つがエンドロールを見る時間です。内容がすばらしければすばらしいときほど、席を立たず、エンドロールが流れる画面を見ています。主役をはじめとしたキャストの名前、監督・助監督・小道具や衣装、メイクさん等々の名前が次々と流れます。文字は次第に小さくなって判読できないほどになっていきますが、それを眺めながら、私はこれほどたくさんの人が関わって制作した映画だということ、そして、そこに載せられているお名前のうちのだれかひとりでも欠けていたら、この感動は届けられなかったのか、と作品に関わった人たちの存在をかみしめる味わい深いひとときがエンドロールです。同時に、完成に至るまでの長い時間の中で、この人たちが心ひとつにかかわってきたであろうことも想像され、うらやましいと思います。

コロナ禍に閉ざされたこの3年余り、私たちは日常を奪われました。とくに人と人のかかわることにさまざまな制約を受けざるを得ない寂しさとせつなさはひときわです。皆さまの学生生活も、まさにしかりだったと思います。でも、この間、味わった思いがあればこそ、コロナ禍の一日も早い収束を、そして、どうか社会に出られたこの先、多くの方々と関わり、それぞれの持つ力や技の違いを活かしながら、共に目標を成し遂げる喜びも味わっていただけたらと願います。
そのときに大切な力もまた、恵泉ブランド生涯就業力にこめられています。「自分を大切にすることと同じように、身近な方々のために、社会のために尽くすことに喜びを見出す力。それがいつ、何があっても、自分の目標を見失わず、しなやかに凛として生きていく力」となることを胸にしっかり刻んでいただけたらと願っております。

これからの皆さまのご活躍とお幸せを心から願って、式辞とさせていただきます。

卒業式の朝、「本日はおめでとうございます」と事務職員の方が学長室に花を届けてくれました。園芸教育室のスタッフの方が卒業式を祝って摘んでくれたキャンパスの花でした。今年の9月卒業は学部生2名(日本語日本文化学科・国際社会学科)と大学院平和学研究科1名で、例年に比べて少人数でしたが、多くの教職員や友人たちが参加して、皆で門出を祝い、恵泉らしい心豊かな式となりました。