平和を思う8月

2021年08月23日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

先週は夏休みをいただいて、このブログもお休みいたしましたが、皆様はいかがお過ごしでいらっしゃいましたか?
例年ですと、8月は広島・長崎の「原爆の日」、そして、8月15日の「終戦の日」と、平和を願い・祈る時を多く持つ月です。しかし、今年は五輪やコロナ感染の異常な急増等が大きな話題となって、テレビ等でも戦争と平和を考える時が少なかったように感じられました。

そうした中、8月14日に放映された『NHKスペシャル「銃後の女性たち~戦争にのめり込んだ"普通の人々"~」』は、心に残る番組でした。

かっぽう着にたすき掛け。戦時中のドラマでたびたび登場する「国防婦人会」の女性たち。新たに発見された資料や取材から、戦争を支えた女性たちの意外な「思い」が明らかになった。女性の活躍の場が少なかった時代、国防婦人会への参加は「社会参加」の機会だった。

(NHKスペシャル HPより)

古い慣習の中、家に縛られ閉じ込められていた女性たちの「社会の役に立ちたい」という懸命な願いが、結果的に戦争に加担し、わが子を戦場に送ることになったという。歴史の悲劇の裏側に正面から光があてられた50分。女性たちは二度と〈銃後の女〉になってはならないとのメッセージが込められた番組でした。

一方、ここに紹介するのは長崎新聞(7月28日朝刊)に掲載された記事です。

「紙芝居通して平和発信~恵泉女学園大(東京)の研究会 オンラインで初の交流~」とのタイトルで、"恵泉女学園大の学生が、紙芝居を通して平和や原爆について考え、発信する取り組みを進めている"と紹介されています。
「恵泉平和紙芝居研究会(Keisen Peace Kamishibai Association : KPKA=クプカ)」を指導している岩佐玲子先生(教育学)は「コロナ禍でも学生の活動範囲を広げ、深められるよう工夫したいと思っております。今後は長崎県立大学の紙芝居研究会の皆様ともオンラインで交流を行う予定です。紙芝居を通して、若い世代の活動を共有していきたい」と、今後の企画について抱負を語っています。

世界平和構築のためには確かな見識をもった自立した女性の育成が不可欠だとの覚悟で、1929年に恵泉女学園を創立された河井道先生の女子教育への願いと祈りの意義を改めて思う8月でした。