先生方からのメッセージ~私のおすすめ その2~

2020年05月11日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

先週は先生方から学生の皆さまへのメッセージ「私のおすすめの〇〇~その1」をお届けいたしました。参考にしてくださいましたでしょうか?
今日は、その第2弾です。外出自粛要請期限が5月末まで延長になりました。
不自由でつらい思いが募っていることと思いますが、どうか今少しの我慢です。
ここに紹介されている本や映画、音楽に親しみ、そして、リラックス法などを試しながら、乗り越えてください。
今日からオンライン授業が始まります。ZOOM等の画面を通してではありますが、新しい形で先生や学生どうしの交流の時を大切にしていただければと願っております。

私のおすすめの本

栗田奈美(日本語教育・日本語学)*
広瀬友紀『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波科学ライブラリー)

「これ食べたら死む?」「かに(蚊)にさされた」「どうしてお片付けができないの?お母さんの飼い方が悪いんだよ!」などなど、どれも微笑ましい間違いですが、どうしてこういう言い方をしたのだろう?と考えると、子ども(ちいさい言語学者)のすごさがわかります。子どもは周りの大人が話すことばを聞いて、その中から規則を見出し、自分なりに応用しようとします。時には失敗することもありますが、そうした経験を通して、ことばを習得していきます。日本語を何不自由なく使えるようになった大人には難しいことですが、子どもや日本語を母語としない学習者は、日本語を客観的に見ることができる言語学者だと言えます。皆さんも日本語を新しい目で見直してみませんか。
(*今年、着任された先生です)

澤登早苗(園芸学)
レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』(上遠恵子/訳 新潮社 )

必修の実習科目「生活園芸Ⅰ」を担当しています。実習を行う教育農場は多摩丘陵の中にあり、自然の美しさを堪能できる特別な場所です。この農場が最も美しいのが春、今年はそんな美しさを誰にも見てもらえないのがとても残念です。
そこで、自然の素晴らしさを読みながら感じることができる1冊を紹介します。著者は、女性の海洋生物学者でアメリカのベストセラー作家、代表作は「沈黙の春(Silent Spring)」。本書は、赤ん坊のころから遊びに来ていたロジャー(甥の子ども)といっしょに、海辺や森のなかを探検し、星空や夜の海をながめた経験をもとに書かれた遺作です。『「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない』という彼女の言葉からは、時には童心に戻り感性を研ぎ澄ますことの大切さが伝わってきます。

有馬 弥子(アメリカ文学)
Salt Houses by Hala Alyan (Hutchinson)
異国の友人を想う

私が今はまっているのは、パレスチナ系アメリカンの女性作家アリヤーンによるSalt Housesです。この小説は四代にわたるパレスチナ系の一族の物語で、イラクによるクウェイト侵攻などが背景になっており、作家自身の家族の経験を映し出しています。その中で繰り返し語られるのは、パレスチナの人々が土地を追われたという古典的テーマで、今なお進行する様々な戦禍に巻き込まれながらも、一家は悲しみのあまり忘れてしまいたいほどの、この歴史的出来事に立ち返り続けます。
私にはニューヨークやベイルートに住んでいるパレスチナ系の友人たちがおり、その内、二人の姉妹を訪ねて中東のパリとも言われるベイルートを訪れたことがあります。二人は絶対にあなたを連れて行きたいと、市内のパレスチナ難民キャンプに私を案内しました。コロナで全世界が揺れる中、二人とは最近メールで連絡し合い、励まし合いました。

佐谷 眞木人(日本古典文学・古典芸能史)
無料で本を読む方法を伝授します

自宅にずっといてすることもないし、ということで本を読みましょう! 図書館も開いていないし、本屋さんも近くにない? 大丈夫、無料で本を読むことができるのです。アマゾンでは¥0の本が売られています。どうして無料なのでしょうか。じつは、これは「青空文庫」というサイトと連動しています。「青空文庫」は没後50年以上が経過して、著作権が切れた作家の本を、ボランティアで入力している人たちが支えているサイトです。まずは、電子ブックリーダー「キンドル」のアプリをダウンロード(パソコンでも、スマホでも。無料です)。あとは、アマゾンのサイトに行って著者名や本のタイトルからキンドル版¥0を検索し、ダウンロードすれば読めます。夏目漱石や森鴎外、芥川龍之介、宮沢賢治、太宰治、江戸川乱歩など1000人以上の作家の本が全部無料。私のお勧めは、与謝野晶子訳『源氏物語』です。『源氏物語』はいろんな人が現代語訳していますが、与謝野訳はリズムのいい文体ですっきりとして読みやすく、慣れればすらすらと読めるはず。原文で読むのはハードルが高いけど、これなら読み通せるかも。ぜひ、挑戦してみてください。

私のおすすめの映画

高濱俊幸(歴史学 イギリス政治史)
『ROCK YOU!』(アメリカ映画、2001)

クイーンの音楽とともに始まる映画は、ヨーロッパ中世を舞台とします。(意外なことに、ブリティッシュロックと中世の時代がすごくマッチしています。)当時貴族のスポーツとされ、平民には身分上許されない馬上槍試合にチャレンジする主人公の姿を描くもので、イギリスとフランスの王が領土をめぐって争った百年戦争を歴史背景としています。『ハリー・ポッター』と同様に階級や身分の壁を乗り越えるというテーマが隠されていますが、歴史について考えるきっかけも与えてくれます。主人公こそまったく架空の人物ですが、百年戦争史に名高い黒太子エドワードや世界的文学者チョーサーが登場しています。もっとも、いったい何年頃のストーリーなのかと考えると、互いに矛盾した場面があって、少し怪しいところがあります。邦題は『ROCK YOU!』ですが、原題はA Knight's Taleで、これはチョーサーの『カンタベリー物語』の第一話The Knight's Tale をもじったものです。

宇野 緑(実践神学・キリスト教学)
『サバイバルファミリー』 矢口史靖監督 2017年

ある日突然、原因不明の停電が発生。しかも何日、何週間も!こんな非常事態でも会社に行こうとする大人たち、買いだめに急ぐ人々、スマホの充電が切れてイライラする子どもたち。東京で「電気」というものが当たり前の中で暮らす平凡な家族が「○○へ行けば電気が通っている!」なんていう噂を聞きつけ、自転車でその地を目指す...。
たまたまAmazon Primeで視聴した映画でしたが、何だか今の状況と重なるような内容です。「よく生きる」ために必要なことは何であるかを問われている作品でした。
一度、手にしてしまった便利さを手放すことは困難。けれど、手放すことで気づく「豊かさ」があることを教えてくれています。まさに今の私たちの暮らしがそうでしょう。人と人が本当の意味でつながり、共に生きる社会の実現へのヒントが隠されているかもしれません。

私のおすすめの音楽

島田美織(TESOL(英語教授法)・児童英語)
テーマは「感謝」 Carpentersの『Sometimes』

Carpenters(カーペンターズ)は、私たち教員や、学生さんの上の世代に絶大な人気があったアメリカの兄妹デュオです。すぐに思い浮かべる曲は"Top of the World"や"Yesterday Once More"ではないでしょうか?その他にも多くのヒット曲があるので、彼らの歌は、若い学生さんでも一度は耳にしたことがあると思います。その中で、私が人生を振り返った時思い浮かべるのがこの"Sometimes"という短い歌です。冒頭の兄リチャードの美しいピアノの前奏と、妹カレンの透き通るような声で歌われる大切な人への想い。今の自分があるのは周りの人の支えがあったからと、聴いていて心が温まり、感動します。(また、私は英語教員ですが、英語習得にもこのCarpentersの曲は最適です。美しい発音と、素晴らしい歌詞が最大の魅力です。私も学生の時、よく家で練習したものです。テンポもメロディーも歌いやすいですよ。)学生の皆さん、お家にいる時、是非一度聴いてみてください。

関本 恵美子(大学オルガニスト)*
『ジョン・ラターの合唱曲』

John Rutterは、現在イギリスで活躍する作曲家、合唱指揮者です。ラターの合唱曲は、曲が流れるやいなや目の前に情景が浮かび上がってくるような美しい作品ばかりです。恵泉の聖歌隊でも数々の作品を歌ってきましたが、この時期におすすめの曲は、"For the beauty of the earth"「このうるわしい大地に」です。ラター率いるプロの合唱団ケンブリッジ・シンガーズの歌声を、目を閉じて聴いてみてください。優しい陽の光が降り注ぎ、まばゆいばかりの新緑が爽やかな風になびく様子が広がり、心が躍り出すようです。
暗闇でこそ星の光が見えるように、長い音楽の歴史においても苦難と絶望の中から美しい音楽は生みだされてきました。先の見えない不安が募る日々ですが、この困難な時を乗り越えた時、ラターが再び人々の心を暖め、希望をもたらす作品を私たちに届けてくれることを待ち望んでいます。(*学年担任の先生です)

杉山圭以子(インド近現代史)
Z元年はチェロの神技で!

コロナ禍の緊急事態下で、教育現場のオンライン化が一気にはじまった。こんな新年度開始を一体誰が予想できただろうか。キーボードでアルファベット最後の文字をたたく度に、それがいま世の中を席巻する起動アプリの頭文字であることをしみじみ覚え、諸機能の実際を吸収中。新鮮で悪くない。入構禁止となった学生たちの安否確認もあったから、学生も教員もZを通してZばかり。画面越しの学生たちは意外にも自分の<好き>三昧をずっとやっていたという日々に食傷気味。そんなところに家で2CELLOS(トゥーチェロズ)聴いてみなよと別れ際に案内した。2011年、伝説の世界ポップ名曲をチェロでカバーし、YouTubeに上げてクロアチアから発信。瞬く間に再生数300万回となった男性チェリストたちによるデュオ。ショー魂はクイーンのフレディ級。「Thunderstruck」の超絶を超えてなお進化し、最新アルバムで「Hallelujah」着。どれも一押しの神技である。

稲本万里子(日本美術史)
音楽:Queen『オペラ座の夜』(1975)
映画:『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)

日本でも大ヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観て、中学生だった頃のQueen愛が再燃。Queenの特徴は、音楽性の異なる4人のメンバーの声がひとつに溶けあうハーモニーと、シンセサイザーを使わない多重録音にあります。4thアルバム『オペラ座の夜』は、メンバーそれぞれが作詞・作曲した個性的な楽曲が収録されていますが、なかでも最大のヒット曲となったボヘミアン・ラプソディは、クラシック音楽の素養があるフレディ・マーキュリーならではの、メロディアスで荘厳な、ロックでありながらオペラを思わせるような1曲です。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』ももちろんおすすめです。フレディ役のラミ・マレックは、最初は似ていないなぁと思いながらも、どんどん引き込まれて、ライヴ・エイドのシーンでは本人に見えてくるから不思議。アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した彼の演技力のなせる技なのでしょう。ただし実際には、フレディがエイズに感染したのはライヴ・エイドのあとだったり、ロジャー・テイラーと対立していたのはブライアン・メイであって、フレディは仲裁役だったりと映画とは違っていますが、そこはエンターテイメントだと割り切れば楽しめます。

おすすめのリラックス法

志賀里美(日本語学・日本語教育専攻)

みなさん、コロナの影響でいつもと違う生活に戸惑うことが増えていると思います。私も初めてのことが多く、イライラすることが増えてしまいました。学校に行っているときは、イライラしても学内には木々や花があふれており、少し眺めるだけでも気分転換することができていました。
うちには1歳と3歳の娘がいるのですが、保育園も登園自粛で、「ギャーギャー」と泣き叫ぶことが増え、私のイライラも頂点に。そんなとき、学校のお花のことを思い出し、リラックスするために、お花の配達を頼んでみました。バラの花が10本届いたのですが、それを見た子供たちも私も心がほっこりとし、笑顔が戻りました。お花を飾るリラックス方法、おすすめです。
そして、コロナが終息し、学校に行けるようになったら、ぜひ学校の食堂裏にあるガーデンに行ってみてください。きっとリフレッシュできるはずです!

澤田みどり(園芸療法)
Stay Homeでも太陽光を浴びて健康に

植物や園芸作業を心身機能の維持向上に活用する園芸療法は、植物の育ちに寄り添い、世話をすることで日光浴、外気浴の機会を増やすことを大切にしています。太陽光を浴びると幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が活性化され、自律神経を整え、不安やストレスに打ち勝つ力が得られます。またビタミンDを生成し、骨を丈夫にし、免疫力を高めます。Stay Homeで太陽光を浴びる機会が減っていませんか?自粛解除になった時に生涯就業力=自分らしく生きる目標を忘れず、身近な大切な人、地域・社会のために尽くして生き続ける力を発揮できるよう、紫外線には気をつけて初夏の陽ざしをいっぱい浴びて健康を守りましょう。私は朝陽を浴びて体内時計をリセットし、ラジオ体操、庭の植物の水やりなど、午前中に15分以上太陽光にあたるように心がけています。

坂井誠(経済学・アメリカ大統領の経済政策)

最近の外出自粛要請のもとで、学生の皆さんはどのような生活を送っていますか。体を動かしていますか。運動不足だと、ストレスもたまってきますね。そこで、私のおすすめのリラックス方はラジオ体操です。私はもともと体や関節が固く、首・肩・背中のコリもひどい人間です。鍼灸院や整形外科に通っても、あまり改善しませんでした。
他方で、数年前までかなりの期間、ラジオ体操を日課にしていましたが、いつの頃からか途絶えてしまっていました。これではいけないと思い、ラジオ体操を再開してみると非常に新鮮な気分になり、少し調子がよいようです。まさにリラックスです。
このコロナ禍でも、早寝早起きの習慣を保ち、適度な運動をするという点で、ラジオ体操はかなりの「すぐれもの」だと感じます。

常葉美穂(教育学・生涯教育)

英国は園芸の盛んな国。その美しい緑やガーデンを、インターネットの写真や映像で巡ってみるのはいかがでしょう?英語の勉強にもなりますし、美的センスも磨けそうです。 例えば、ロンドン郊外の王立植物園キュー・ガーデンのサイトツイッター、王立園芸協会(RHS)のツイッター、歴史的建造物や景勝地の保全活動を行うナショナル・トラストのツイッターなど。
緑豊かなキャンパスが多い英国の大学の中でも、例えばケンブリッジ大学のインスタグラムや各カレッジのflickrは見応えがありますし、同大学植物園のYoutube動画ではガーデン内を散策している気分になれますよ。
本学も花と緑と野鳥のさえずりに包まれたキャンパスですが、新入生の皆さんにはまだ実際に体験して頂くことができず残念です。拙いものですが、以前撮影した写真で雰囲気だけでも味わって頂けたらと思います。
また本学公式ツイッター(@Keisen_Univ)でも、折りに触れ四季の学内風景を紹介しています。以下のような過去のツイートのまとめ(「モーメント」)もありますので、ちょっとした息抜きにお楽しみ下さい。
恵泉女学園大学"ガーデンキャンパス"の四季 ~春から夏~
恵泉女学園大学"ガーデンキャンパス"の四季 ~秋・冬から早春~