松村たね子先生が天に召されて

2018年07月16日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

「元・本学園教員 松村(旧姓高橋)たね子先生が7月3日に逝去されました(100歳)。謹んでお知らせいたします。ご家族の皆様のためにお祈りください」との報告が学園本部から届けられました。

普通部の2回生。恵泉創立当初の卒業生で、卒業後は1942~1946年に学園で教員をつとめたのち、ヴァイニング夫人(現天皇の皇太子時代の教育係)の秘書となり、その後ICUで教授・図書館長をつとめた方です。
ヴァイニング夫人の著作『ウィリアム・ペン』(岩波新書 1950)は松村先生の訳(高橋たね名義)であり、また同じく夫人の著書『天皇とわたし』には「高橋たねについて」「高橋たねの協力」「たねの誕生日」などの見出しでお二人の親交が綴られています。

私はお目にかかったことはなく、『証言集 河井道 人・信仰・教育』の中で先生を知る限りですが、「恵泉創立当時に生徒だった私の感想」と題した原稿から、河井先生の側近くで成長し、河井先生の心を生涯受け継いで生きた姿が浮かびます。

"恵泉で教育を受けた人々の多くは青春時代を学園で育まれた仕合せを感じて居るに違いない」との言葉で始まり、「外見が如何に変化しようとも、永遠に滅びない価値を求め続ける教育が行われている限り恵泉は存続するであろう」と結ばれている松村先生のメッセージをしっかり胸に刻みながら、7月7日、聖アンデレ教会の告別式に参列してまいりました。
友人知人から"ストレートたね子"とのニックネームで愛され、生涯、自由・自立の精神を貫かれたお人柄を忍ぶ心温まるお別れの会でした。学園の旧教職員の方々や年配の同窓生の方々もたくさん参列され、河井先生のお心を受け継ぐ方々との出会いに恵まれたひと時に感謝しながら、松村先生の天での平安をお祈りいたしました。

『証言集 河井道 人・信仰・教育』
『証言集 河井道 人・信仰・教育』

『証言集 河井道 人・信仰・教育』