学長Blog★対談シリーズVol.9 この方と『生涯就業力』を語る

2017年05月08日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

今回は、2020年のオリンピックイヤーには創業100周年をお迎えになるという国際自動車株式会社代表取締役・西川洋志氏におでましいただきました。

「対談シリーズ」

第9回ゲスト:西川洋志氏

国際自動車代表取締役社長。1972年4月、国際自動車入社。ハイヤー営業マン、営業企画を経て、2000年より同社経理部長に就任。2001年、同社取締役不動産部長となる。2007年4月、経営管理本部取締役副本部長となる。2011年、常務取締役に就任。2014年6月、専務取締役に就任の後2016年4月より現職。

女性の活躍できる場所を作りたい

---先日、御社は創業97周年をお迎えになられまして、おめでとうございます。その記念式典のお写真を拝見いたしましたが、社長のお姿をすぐには見つけられませんでした。右はじのほうにいらっしゃいましたね。
ふつうは社長さんというのは真ん中にいらっしゃると思うのですが。

主役はドライバーの皆さんなので、それでいいんです。表彰がメインですので、表彰される人に真ん中に集まってもらうんですよ。

---なるほど、常々、社長が人は財産だとして人「財」とおっしゃっておられるとおりですね。
御社はさまざまなメディアでも注目を集めていらっしゃいますが、とりわけ「女性採用」というところに力を入れておられます。先駆けてそこに着眼されたのはなぜでしょう?

タクシー会社はほぼ100パーセント男性社会です。自分の入社時も男性ばかりで、女性のスタッフと言えば、掃除や食堂の方々くらいでした。タクシーの歴史は男性の歴史とも言えるんじゃないでしょうか。
男性しか働き手がいない、という状況で入社して勤続45年になります。大学卒業後ずっと国際自動車ですから、社の歴史の半分を見ていることになりますね。

---業界の「男性社会」のありかたに疑問をお持ちになったのはいつごろですか?

それがごく最近なのです。タクシーに乗るお客様の変化が大きいですね。
バブル崩壊前は法人の利用が多かったんです。サラリーマンが接待後、タクシーチケットを持って乗る、接待先をお乗せする......夜がメインの仕事でした。
バブル崩壊後は、客層が変化してきました。法人利用は減り、女性の利用客が増えました。
でも、女性ドライバーは少なかったんです。女性は女性ドライバーのほうが乗りやすいというところがあるでしょう。女性の活躍できる場所を作りたいと考え、採用を広げていきたいと考えました。
大学のキャリア部署とコンタクトをとって、女子学生にも理解してもらいたいと考えています。

「男女脳」の違いを知ると......

---バブル期ももう20年くらい前になりますね。それまでの男性中心の歴史の中で培われた習慣もあったと思います。女性採用について社内の抵抗などはなかったのでしょうか?

そうですね。やっと少しずつ慣れてきましたが、管理職などはとにかく女性との接し方に戸惑っていたようです。あまり上から目線でものを言うと嫌がられます。でも、神経を使いすぎると時間がかかってしまう。女性を採用できても、女性の言い分を理解できなかったりして、コミュニケーションがうまくとれませんでした。女性社員からあまり過保護なことをやらないで、と言われたこともあります。
ですから、「男女脳」を研究している先生をお招きして研修をしたこともあります。男女脳の違いを理解し、職場でのコミュニケーションを円滑にするためです。

---『話を聞かない男・地図が読めない女』なんていう本もありましたね。

方向感覚はなくても、女性の脳には一度行った場所の特徴を覚えるという働きがあるそうです。そこに水たまりがあったとか、角に店があったとかいうことを覚えているんですね。
そんな初歩的なところから勉強しました

お互いイライラせずに、じっくりやっていくこと

---わたしはジェンダー論も専門ですので、男女の性差がもっぱら生物学的なものに起因しているという考えにはなかなか与(くみ)しない気持ちでいますけれども、おっしゃる通り方向感覚の違いというのはありますね。わたしは方向音痴でして、たとえば洋服屋さんのウィンドウ・ディスプレイされている服を目印にしたりして。でも、行きに見たときは赤い服だったのに、帰りには服が変わっていたりして、そうなると、もうわからなくなってしまいます。
それにしても、男性が多い企業で女性活躍を推進される中ではご苦労もおありだったのではないでしょうか?

慣れるまでは時間がかかります。はじめは、道に迷って営業所に戻ってこられない女性ドライバーもいました。でも、慣れると男性よりよくできるということもあるんです。
細かなところに気づいたり......。
男性と女性は根本的に違うということを知って、お互いイライラしないでじっくりやっていこうと思いましたね。

---イライラしないということはわかりますが、「じっくり」というのは企業の効率性やスピード感に即さないのではありませんか? そこを女性の活躍のために、ということで「じっくり」とおっしゃるのは、女性としてはありがたい思いですが、経営サイドとしては勇気と手間のいることのように思いますが。

たしかに、時には採算が合わないということが今でもあります。
たとえば、うちにはリラクシーという介護の資格を持っている女性ドライバーが病院の送迎・同行やお子様の送迎を行うサービスがあります。カラフルな5色のタクシーで10台走らせて、3年になるでしょうか。ただ、需要と供給のバランスが上手にとれていなかったため、方向性を考えようかなと思い始めているところです。
ワンボックスカーとセダンでそれぞれ5台走らせていますが、流しで営業している際に、タクシーと認識されず、手をあげてご乗車される客様はあまり多くなかったのですよ。

「女性ドライバー」の活躍と可視化

---先日、六本木を歩いていたら、ピンク色のタクシーが通ったんです。
一緒に歩いていたひとが、「あ、あれよ」と言うんです。わたしたちはふだん乗るまでドライバーが女性かどうかはわからないですが、あれは女性ドライバーだとわかるから、安心して手をあげられるのよ、と。なるほどそういう可視化がとても良いと思ったのですが、
でも、需要があまりないとは意外です。

ニーズはあると思うのですが、効率よくお客様にご乗車して頂く方法に変えようと思っています。
ああいう車を回してほしいというお客様はたしかにいます。ホスピタリティを掲げる企業として、こうしたニーズを拾いながら、需要と供給のバランスを考慮し、利便性の高いサービスの提供にこれからも挑戦していきたいと考えています。
新宿の伊勢丹様に当社専用のタクシー乗り場があるんですが、そこにあの5色のタクシーを入れます。
今まではお客様の予約の時間までは流していたんですが、あのタクシーにはなかなか手をあげづらいらしいです。

---色ではなくて、ワンボックスカーにあげづらいということがあるかもしれません。
料金は同じでもなかなかそう思えない。自分一人なのにこんな大きな車でいいのかしら、と。
女性は女性ドライバーだとわかると安心して手をあげられると思うんですね。
特に夜などはそう思います。
男性ドライバーもだいぶ応対は変わってきましたけれども、それでもやっぱり女性は女性だと安心できますね。

なるほど。男性ドライバーだと、女性のお客様は家まで乗らずに近くで降りられてしまう、という使い方が多いです。自然にそういう意識が働くようですね。
夜は女性のお客様もだいぶ増えましたが、そんなときにドライバーが女性だと家の前まで乗るんですよね。

若い人たちとの話が業界の変革につながる

---そういえば、御社は女性ドライバーをはじめとする全てのドライバーのための運送約款も変更されて、話題となりましたね。乗客からセクシャルハラスメントを受けたときに運行の継続を中止することが出来たり......それを拝見して、逆に業界には今までなかったのかと驚きました。

なかったんですよ。
女性ドライバーはセクハラ被害を、なにかしら受けているんですよね。
それを長いこと不思議に思わなかったんでしょう。ベテランであれば言えるけれども、若い人たちは言えずに我慢したり、なかなか対応できないことも多い。それではいけない、会社で守らなければと決めたんです。
やってみたら、全国のタクシー会社から問い合わせが入りました。どこの会社も皆同じく悩んでいたことがわかりました。だからやってよかったなと思いました。

---業界にとってはショックだったようですね。
なぜ西川社長はその点にお気づきになったんでしょう?

わたしが気づいたわけではなくて、若い人たちがたくさん入ってくれるようになって、話してくれるようになって、話を聞くチャンスが増えたからです。営業所の管理者からあがってくる話もあれば、節目節目の研修の中で上がってくる話もあります。
40年以上ものあいだ、当たり前になっていたところに気づかせてもらえることがあります。
そういうところが業界の変革につながっているのだと思います。

---新しい採用形式も取り入れておられますよね。仮面就職など、斬新に思えます。ご家族と触れあいたいからドライバーになったという方もいらっしゃるようで。
たくさんのメディアで取り上げられておられますよね。

新しい採用方法は自分たちだけで水面下でやっていましたが、マスコミに取り上げてもらうことで逆に活用させてもらいました。「ガイアの夜明け」で放送された反響で、全国の学生が来てくれるようにもなりましたので、この波及効果で、NHKさんや民放さんの取材も受けるようにしました。
いろいろな職業を経験した方が入ってきますし、目線がそれぞれ違うんです。キャリアにはキャリアの、見るもの聞くものすべて初めてという新卒には新卒の、また違う発想があります。男性、女性の違いもあります。
女性ならではの視点でなるほどと思ったのは、車内のにおいのことですね。
男性が気づきにくいにおいを、女性は気づくんです。前の乗車客のにおいが気になるというんです。シートベルトやハンドルにしみついた汗などのにおいですね。
それで、車内には消臭スプレーがあります。このスプレーも、自社製品なんですよ。

「世界一のホスピタリティ」を掲げて

---NHKで「ボス潜入」という、社長が身分を隠して現場におりて、ふだん聞けないことを聞く、というちょっとドッキリカメラみたいな番組があります。でも、御社ではそんなことなさらなくても、じゅうぶんに従業員の声を聞く機会、システムをお持ちなんですね。

そういう面では、ざっくばらんに話しますね。まずは入社前の採用面談ですね。集団面談で、自分や専務が入って学生5~6人でざっくばらんに話します。
当たり前の面接はおもしろくない、学生を困らせるような面接をして、本心が見える面談に変えないと無駄。会話ができる面談にしたい。
質問は採用スタッフがみんなで考えました。たとえば、「一週間でgoodな出来事は何?」「自分がこれだけはゆずれないものは何?」など、ケースバイケースで質問は変えていきます。
たいていの企業は勉強してきたことを聞くのが当たり前になっていて、学生は答えられるように準備していますよね。そうではなくて、こんなこと聞いたらどう答えてくれるかな?というような質問を用意します。そうすると学生の人となりが見えるんですよ。
学力ではなく、人とコミュニケーションをとれる、弊社がやろうとしていることを理解できる人を求めています。
「世界一のホスピタリティ」を目標に掲げていますから、そのことに順応できる人、面談でも臨機応変に答えられる人、そんな感性をもった人を育てたいのです。

---本学がテーマにしている「生涯就業力」は、"社会人基礎力と努力に裏付けられた自己肯定感"と定義しています。社会人基礎力については、本学園の理事長は企業人でしたので、「礼儀正しい人、仕事が早くて正確な人、考える人で改善・改良に努める人」とわかりやすく学生たちに伝えています。
恵泉の学生はアピール力が決して強くはなくて、集団面接のときなどには一歩引いてしまったりする消極的なところのある学生も少なくないのですが、そういう人材は企業の方に認められるものでしょうか?

そういう人たちはたくさんいますし、求められています。むしろそういう人たちばかりかもしれません。
すべてが前へ前へと出てくるばかりの人でなくてよくて、組織を成り立たせるためにはいろいろな人が必要です。それを理解してもらえばいい。
折に触れての面談では、社員がファシリテーターになって話を進めることもあって、逆に我々にも「社長はどう思いますか」などと質問してくるんです。そこでわたしが困っているような顔も見るわけですよ。
同じテーブルでいろいろな会話をするとそういうことも起こる、そして、そういう雰囲気の中でふだんおとなしい人が自然に話せるようになることもあります。それを見たいんです。

相手の雰囲気を感じ取って接する

---臨機応変というのは、そういう空気に乗れる力も必要だということですね。

そうです。ドライバーは、お客様の雰囲気を感じて、それに応じた接客をしなければいけない。何をして来られたのか、どんなことがあって乗って来られたのかを考えられるようでないといけません。一声かけたときのかえされた返事を聞いて、感じ取らなければならないことがあります。出会いは30秒、きちんと把握できないといけません。
それができないと「世界一のホスピタリティ」を掲げている会社ではいられませんから。

---そういう研修もなさっているからこそ、業界でホスピタリティをはじめとして、さまざまに改革を推進する最先端の企業でいらっしゃると思います。

一番は、人と人とが対面したとき、相手のことを感じ取り、相手の意向をくみ取った対応をして、、、お客様が気持ちよくご乗車できるようにしなければならないと思っています。

はじめは新聞記者になりたかったけれども

---お言葉の端々に、ほんとうに感銘を受けながらお話を伺っておりますが、西川社長ご自身は45年前国際自動車入社時に、今のようなお仕事をしたいと思っていらしたのですか?

もともと新聞記者になりたかったんですよね。新聞社の試験を受けていたのですが、どこもとってくれなかったんです。
たまたま知人から国際自動車を紹介されたんです。
その頃、岡崎友紀さんの「なんたって18歳」というドラマの舞台が国際自動車のバスだと聞きましてね。岡崎友紀さんの会社だ!と思って、試験を受けたんです。
試験自体は実は終わっていたのですが、受けたいと申し出ましたら一週間後に連絡があって。ほかにも受けたい人が何人かいたようで、そこで入社試験をやってくれることになり、受けて受かったわけです。

---いくら岡崎友紀さんが好きでも、社会人として人生の選択を決めるのに、なんと転換がやわらなかと言いますか......。新聞記者と自動車では全然違うのに、おもしろいですね。
物事の決断というのはそういうものなんでしょうか。

だから最近の若い人たちは心配です。真剣にいろいろ考えてしまう若い人たちが多いと思うんです。
4月3日が入社式でしたが、その当日に辞退する人もいる。その前ももう少し考えさせてください、という。「よく考えてみる」、と言うけれども、なぜだろうと思うんです。
一歩進む前に考えて引いてしまう。なぜ引き下がってしまうんだろうと感じるところがあります。

食べていくためにはとにかく独立しなければ

---将来に向けて計画を立てること自体は悪いことではありませんが、若い人たちの中には今いる狭い世界から一歩も踏み出そうとしない、踏み出せない人たちも増えているということでしょうか。
社長はなぜその一歩を踏み出すことがおできになったのでしょうか?

なぜかというと、ぼくらの時代は物があふれてはいなかったから、ではないでしょうか。
飽食の時代ではなかったですから。
大学を出たら食べていくためにとにかく独立しなければならない、という気持ちが強かった。だからどこかに就職しなければと思っていました。入れてくれるところに入れてもらうという気持ちが強かったんだと思いますね。
入ってみたら、いいところもある。人もいっぱいいるし、人といろんなことをやるのがもともと好きなので、面白味が出てきました。

さまざまな業務経験からいろいろなことを知る

---入社当初はどんな部署にいらしたのですか?

ハイヤーの営業マンです。上場企業の役員に専属の社用車つける前に、ハイヤーで対応される企業が相当数あったんですね。役員さんのランクによって専属車か、ハイヤーかという区別をされるところがありました。法人相手のセールスを20年ほどやりました。

---門前払いなどはなかったのですか?

ありました。でもたいていのところはkmの名前はわかっていただけていたので、たいがいのところには入らせていただくことができました。ネームバリューの大きさを感じました。
その後はハイヤー会社で経営企画を担当し予算を立てたり、経営方針を決めたり......それからバブル崩壊しかかっていた時期にkmの財務の仕事を担当しました。銀行の折衝では大変な思い、辛い思いをしました。
海外にホテルやゴルフ場などがありましたが、テナント類など含めて本業だけを残して売却しました。拠点を残してもらったから、再生に大きく向かえたのだと思います。
いろいろなことをやらせてもらう中では辛い思いもしましたが、いろいろなことを知ることもできました。

---御社の業務の要のところを全部たどってこられたようですが、辛いときはどう乗り越えられたのでしょうか?

辛い中でもやはり仲間がいましたので......部下も上司もいましたし、一人でやっているわけではないということで、みんなでやればなんとかなるかな、という気持ちだったですね。

まず動く!走りながら考える!!

---なるほど、それが人材は人「財」という発想になって、世界一のホスピタリティを実現されることになって......。そのごくごく一端が創立97年の記念写真の社長の席順に凝縮されている、という思いです。
人生経験の違う人、若い人の声を聞くということを社長はさらりとおっしゃいますが、それはなかなか簡単にはできないことだと思うんです。
意見や経験の違いを受け入れて、世界一のホスピタリティを目指す、いいかげんではない柔軟さはどう培われたのでしょうか。
社長は若い頃はどのようなお方でいらしたのでしょう?

若い頃はいろいろなことに興味がありましたね。いろいろなことをやりたかったんでしょうね。
学生運動も真っ盛りの頃でしたし。
返還前の沖縄には、どうなっているのかなと見に行きました。ビザが必要でしたし、たしかに異国だなと感じましたね。アメリカ人の車に学生が車で体当たりするなんてことをしていた友人もいましたけど。
ただ、若い頃こうだったと話すと、年寄りになったみたいな気持ちになるので、あまりしたくありません。
入社式でも話しましたが、過去はもう変えられないのだから、今を大事にして生きないといけない。将来は自分たちでつくるんだから、将来につながる今を精一杯生きよう、と。
今の若い人たちはいろいろと考えてはいますが、考えすぎではないかと思っています。そこまで考えるなら、いったいいつ行動するのか?と。
行動してみないとわからないこともいっぱいあるでしょう。
まず動いたほうが良いと思います。
あとは走りながら考える、という癖をつけたほうがいいです。
朝令暮改なんて言われることもあるかもしれないけど、走りながら考えていると、こんなこともあんなことも見えてきた、ということがありますよね。

---若い人たちは転んだらどうしよう、という心配が大きいのかもしれませんね。

なるほど、すごく慎重なんでしょうね。
転び方もあるんでしょう。手を差し伸べなければいけないものには差し伸べますが、自分でやらないといけないこともあります。結局自立心をもってもらわなければ、社会には通用しなくなってしまいますから。
あんまりまわりが過保護に扱ってはいけないと考えます。

まだまだ変えていかなければならないことがある

---社長は、女性脳と男性脳について学んで、耳を傾けてくださって、女性を理解しようとされながら、厳しいこともおっしゃる。バランス感覚が抜群でいらっしゃいますね。

いや、女性を過保護に守った、ということでは失敗だったと感じていることもあります。
先ほど、お客様が乗車されるまでドライバーが男性か女性かわからないと学長がおっしゃいましたが、それは会社として失敗したと思います。女性を保護しすぎたんです。
一見して女性とわからない制服を着せたのは、女性を守るためにも区別をつけられないようにしなければ、という時代があったからです。でも、それは間違っていたと思うんです。
弊社も、女性にどう活躍してもらうか、ということがまだ定まっていないときにそういうことをしていたこともあります。
女性の意見を取り入れた制服を着て、女性ならではのサービスができるようなタクシーを走らせなければ、ということを根本におかなければいけないんでしょうね。
乗って初めて女性ドライバーだとわかるのではなく、はじめから女性ドライバーを探しているお客さんもたくさんいらっしゃるでしょう。
まだまだ変えていかなければならないことがありますよ。

---私は入学式の式辞で「あなたの未来はあなたの手に」というタイトルで話をさせていただきました。そこに込めた思いは、今日の西川社長のお話にとても通じるものがあったように思います。「自分には過去はない。今を、そして、未来を見ているから」とおっしゃったお言葉に、業界を力強く牽引しながら新しい時代を切り開いていらっしゃる方のすばらしさを感じました。日々、ほんとうにお忙しくいらっしゃる中、多摩の本学までいらして、対談をして下さいましたことに、心から感謝申し上げます。