収穫感謝礼拝の報告

2018年11月26日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

今年も恒例の収穫感謝礼拝が行われました。あいにく私は京都での仕事のために出席できずに残念でしたが、キリスト教センターから嬉しい報告が届きましたので、ご紹介させていただきます。

11月15日(木) お昼休みの時間帯に、さわやかな秋晴れの空のもと、学生宗教部シャロンのメンバー主催による収穫感謝礼拝が行われました。
実りの秋、神さまからの恵みである田畑の収穫物を前に、感謝をささげ、その恵みを分かち合うひと時。恵泉において、大切な行事の一つです。飾られているお野菜・お米はすべて恵泉産。お米は恵泉里地里山プロジェクトで地域の方々と一緒につくられたもので、社会園芸学科1年生全員が田植えと稲刈りに参加しました。
お野菜は園芸教育課外活動「恵泉やさい」というグループで学生たちが育てたものと、1年生の必修授業の生活園芸で収穫されたものからおすそわけいただきました。

学生たちが種まきから関わったお野菜・お米を飾れるなんて、何という恵みでしょう!

第1部では礼拝をささげました。
感話を担当してくれた二人の学生は、生活園芸を通して知識を得ると同時に、自らが命を育むことの難しさと喜び、そこから気づかされたこと、家族をはじめ様々なことへの感謝の思いを語ってくれました。感受性豊かなお二人の言葉に、聴いていた私たちも思いを合わせ、感謝で胸がいっぱいになりました。

第2部ではお待ちかねのおにぎり&きのこ汁パーティー!
2日前に精米されたばかりのお米と恵泉産の野菜がたっぷり入ったきのこ汁。
いろいろ用意されたおにぎりの具を詰めて、自分でギュッギュッと握って食べるおにぎりは格別!きのこ汁は野菜の甘みがたっぷり出ていて、そのおいしさにおかわりする人も続出でした。「おいしいね~」「うまい!」と会話も弾み、皆さんの表情はニコニコで心もお腹も満たされたひとときとなりました。(キリスト教センター 宇野緑)

2人の学生の感話も届けてもらいました。恵泉との出会いを通して得たものについて書いてくれている学生の声に、私も改めて感謝の思いです。すべてご紹介したいのですが、スペースの関係もあって一部抜粋させていただきますこと、ご了承ください。

社会園芸学科3年 渡名喜薫美

私は沖縄県出身で、恵泉へ通うために東京へ来ました。大学案内のパンフレットの中の「園芸を通して人と人をつなぐあり方を学ぶ」という言葉に惹かれて、恵泉で学んでみたいと思ったのです。(中略)。入学して、生活園芸の授業を通して実感した、それは、食べ物に感謝するという気持ちです。暑いときも寒いときも畑で野菜を育て、肥料をあげたり除草作業をしたりと90分の授業はあっという間で、"育てるのってこんなに大変なんだ"と思いました。そして恵泉に入る前は、母が毎日ご飯を作ってくれ、朝早くから部活の練習があるにも関わらず私のためにお弁当も作ってくれていました。そのことを考えると、野菜を育ててくれる人がいて、母がその野菜でご飯を作ってくれていたことで、私はおいしいご飯を食べられていたのだと思いました。頑張ってくれている人がいるおかげなのだということを頭では理解していても、それを実感したのは恵泉に入ってからでした。それからは食事をする前に"いただきます"と言うようになりましたし、母に感謝する気持ちも強くなりました。
私が成長するきっかけを作ってくれた恵泉の野菜を家族にも食べてほしくて、収穫したのを沖縄へ送ったり、私と同じく東京に住んでいる姉の家へ持っていったりもしました。今でこそ姉の所へ2ヵ月に1回は遊びに行っていますが、私が沖縄にいた頃は10年以上離れて暮らしていました。姉とはひと回り歳が離れていたのもあり、私が6歳の頃には県外の大学へ進学していて、今は結婚して東京に住んでいます。家族の中で姉との思い出が一番少なく、一緒に遊んだ記憶もあまりないので姉と話すときはいつも少しだけ緊張していました。けれど、今どんな野菜を育てているか、どんな授業を受けているかなど、恵泉での経験が話すきっかけになり、姉と自然に話せるようになりました。園芸活動を通して、家族とつながる機会が増えたように思います。もし恵泉を見つけられていなかったら、私にとっては遠く離れた場所である東京に来ていなかったと思いますし、もしかすると、沖縄の大学へ通っていたかもしれません。私はこれを巡り合わせだと思っています。恵泉と出会い、園芸活動で得たものは大きく、何年後かに振り返った時に私はまた感謝の気持ちを感じるのだと思います。

社会園芸学科3年 長塚玲奈

私は、幼い頃から祖母と一緒に植物を買いに行き、家の庭に花を植えたりそれらを一緒に育てる事が大好きでした。また、祖父もプランターや、庭の小さな敷地に野菜を育てることが趣味でした。幼い頃から、私の周りには、常に植物がある環境でした。(中略)
高校三年生の時、大学進学をするのか、花の専門学校へ行くのかを、ギリギリまで迷っていました。結果、恩師の勧めで恵泉に進学する事を決めました。私は、ただ植物が好きという気持ちで入学しましたが、恵泉へ入学して様々な授業や、実習をしていくうちに、植物が好きという気持ち以上の感情や感動を与えられました。花がもともと好きでしたが、植物を広い範囲で学んでいくうちに、色々な分野にも、興味を持つ事ができました。
一年生の時に受けた生活園芸。初めは虫が苦手で土をいじるたび、虫が手につくのではないかと、嫌に思いながら作業していました。そう思っていた授業も回数を重ねるたび、虫がいるから良い土ができて、良い作物ができるのだと、いつしか考えられるようになりました。また、今まで自分が育てたことのない野菜を育てる事ができたり、立派に成長し、 自分たちで育てたんだ!という自信を持つことができたりすると、毎回の授業がとても楽しく感じました。そしてそれを持ち帰り家族に喜ばれる事が何よりも嬉しかったです。授業でどんなことをしているのか、どうやって育てたのかを話す事で、今までよりも家族との会話が増えました。家族と一緒に自分が作った野菜を食べられることができたのも、また授業を、頑張ろうと思える源でした。今年は生活園芸Ⅱを履修し、春学期は花についての授業を、秋学期は野菜を作る授業を履修しています。生活園芸Ⅱでは、小さい敷地の中でも工夫をすれば、様々な種類の野菜を手軽に収穫することができるという事を学んでいます。私は将来この学びを生かして、自宅でも、このようにして野菜を育てたいと思います。私は、恵泉へ入学して、多くの知識や、命の大切さ、感謝の気持ちを改めて感じることができました。大学へ入学出来たことは、家族の支援があってこそです。そんな家族へ感謝の気持ちを忘れず、これからも、充実した大学生活を送りたいです。