4年生と共に~「生涯就業力STEPⅧ」最終講義にて~

2026年02月09日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

多摩キャンパスでは1月中に最終授業を、その後に続いた定期試験・卒業論文口述試験も無事に終了いたしました。
静謐な空気の中にも春の足音が確かに近づいてくるのを感じる今日この頃です。
その最終授業期間中、私は4年生対象科目「生涯就業力STEP Ⅷ」にて、卒業を間近に控えた学生たちとひと時を共にいたしました。本日はそのご報告をいたします。

「生涯就業力STEP」については、これまで本ブログでも度々ご紹介してきましたが、本学では恵泉ブランド「生涯就業力」を在学中に段階的に身につけられるよう、入学時から体系的に学びを積み重ねています。

*恵泉ブランド「生涯就業力」については、拙著『女性の一生』(日本評論社)にまとめております。刊行時には「大学Times」にて、"生涯就業力"を紐とく『女性の一生』として紹介されました。こちらも併せてご覧いただければ幸いです。

さて、当日の講義タイトルは
「恵泉での学びを終えて、まもなく社会に巣立っていく皆さんへ~大切にしていただきたい いくつかのことを とりとめなく~」というものでした。

今回、私が大切にしたことの1つは、パワーポイントは用いず、配布資料も簡単なレジュメ1枚にとどめたことです。
近年、講義や講演ではパワーポイントを用いるのが標準的な手段となり、特にコロナ禍以降は、オンラインでの授業や講演の普及と相まって、その傾向は一層強まっています。
もちろん、情報を視覚的に整理し、分かりやすく伝えるという点では大きな利点があります。
しかし、一方で、私は「聴く力」や「メモを取る力」が弱まってしまうのではないかという懸念も抱いております。社会に出ていく学生たちは、これからさまざまな場でさまざまな方々と出会い、導かれ、支えられて歩んでいくことと思います。直接的な出会いの中で、相手の声や思いを丁寧に聴きとる力はなにより大切となることでしょう。

そんな願いをこめて、私は学生たちを見つめながら語り始めました。
最初は戸惑いの表情を浮かべる学生もいましたが、時間が経つにつれて、私にしっかり顔を向け、目を合わせ、真剣にペンを走らせていく姿が教室に広がっていきました。

講義を終えてまもなく、担当の関本恵美子先生が学生たちのレポートを届けてくださいました。タイトル通り、とりとめのないつたない私の話を、学生たちはここまで心にしっかり受け止めてくれたのかと、胸があつくなりました。何人かが綴ってくれた「恵泉での学びを宝に社会に出ていきます」という言葉は、私自身にとっても大切な宝となりました。
学生たちが恵泉での学びを胸に、それぞれの道へと歩み出すときが近づいています。
その背中を静かに、確かに押したいと、願いました。

講義概要

恵泉での学びを終えて、まもなく社会に巣立っていく皆さんへ
~大切にしていただきたい いくつかのことを とりとめなく~

  1. 「宇宙」と「私」 ・宇宙から見た「私」 と 私から見た「宇宙」と
  2. 「真の怒り」と「人としてのロマン」と ・何に怒り 何を守るのか
     ~推理作家 柚月裕子さんの検事「佐方貞人」シリーズから
    ・ファクトチェックの大切さと他者へのリスペクト
  3. 言葉を大切さに・・・でも ・何を「語る」かの前に、何を「聴く」のか
     ~フランシスコ前教皇と男の子のエピソード
    ・「何を」語るかではなく、「誰が」語るか
     ~田坂広志『教養を磨く』 光文社新書
  4. まず「今」を 「自分」を! そして、他者と共に ・Connecting the dots  スティーブ・ジョブズ ・たゆたえども沈まず Fluctuat nec mergitur
     ~フランス・パリ市の市章に刻まれた標語