今年度の恵泉祭のテーマは「輝く」です。
そこで、「輝く」というテーマに込めた思いを話していきます。

恵泉祭のテーマを考える中で、恵泉と関係性があるものを取り入れたいと考えていました。その一つとして、恵泉女学園の創立より続く卒業式伝統の「学燈譲り」という、ランターンの灯の光を卒業生一人一人へ受け渡していく行事から、着想を得ました。分け与えられた灯は、優しく暖かく包んでくれる光でもあり、いつか消えてしまう脆さの両面があると思います。残念ながら、恵泉女学園大学は私達現在の2年生の代でランターンの灯の光が途切れてしまいます。しかし、私たちに分け与えられた灯は人生を通して様々な形に変化しながら、卒業生一人一人の心の中にあり続けます。最初は小さな灯だとしても、いつか周りを照らしてくれるような眩い「輝き」にもできます。そこで、恵泉で学んできたものを「学燈譲り」で受け渡された灯の光と見立てて、将来を輝かせて進んでいきたいという思いを、「輝く」というテーマに込めました。

また、河井道先生が大切にされていた聖書の一節である、「汝の光を輝かせ」という部分から私たち一人ひとりが宝石の原石なのだという着想を得ました。宝石の原石は、原石そのものにも価値はありますが、磨き、加工することによってより美しさや魅力が増していきます。磨き方で輝き方も変わっていくことから、どこまで慎重に丁寧に磨けるかが大事になっていきます。最初は汚れていて魅力も半減している石ころを、どう綺麗にしていくかは、磨く人次第です。この宝石の原石を私達学生と見立て、まだ磨ききれていない未熟な原石を、恵泉で過ごしていく中で磨いていきたいと思っております。そして、将来他の誰も持っていないような輝きを持つ宝石のようになりたいという思いを込めています。

私は、恵泉に入学してから今日までの期間だけでも、少しずつ自分自身が磨かれ、成長していると感じています。恵泉に入学する以前の私は、人見知りなこともあり、人前に立つことを嫌い、自分の意見を発言することを避けていました。しかし、恵泉では講義内で意見を言い合ったり、自分やグループで作ったスライドなどで発表したりする場が多々あります。最初は抵抗がありましたが、少人数での講義だったこともあり、少しずつその抵抗感は薄れていきました。そして、何よりもこれまでの環境と大きな違いは、恵泉にいる学生や先生方は、話している相手に対して寄り添って聞いてくれる優しい方達が沢山いることです。だからこそ、安心して、発言や発表ができるのだと思います。また今回、このように実行委員長を務めさせていただくきっかけにおいても、日頃からわたしに寄り添ってくださっている先生方がさらに一歩踏み出せるように、と間違いを恐れて前に進めなかった私の背中をそっと押してくれました。こうして今も尚、私の苦手だったものが少しずつ削られ、自分の心の内側が綺麗に磨かれ続けています。

今回、感話を述べるにあたって、思い巡らし、恵泉の公式ホームページを眺めていました。
恵泉の3つの礎　聖書、国際、園芸、そして教育理念として、自己を尊重し、自己を愛するように他者を尊重する人を育てる。世界を知り、偏見や差別に立ち向かう力を育む。自然を慈しみ、いのちを尊ぶ人を育てる。という言葉が目に入りました。入学前から知っていた言葉ではありましたが、1年半恵泉で過ごし、あらためて、これらの言葉を実感しています。学びや出会いを通して、いつの間にかわたしの中で育まれているということに気づかされました。

恵泉では、自分自身の成長と他者に寄り添える力が身につけられる場所であると思っております。そして、いつか、社会で自分だけの輝きを放つために、日々恵泉で勉学に励み、これからも自分磨きを続けていきたいと願っています。
これらの思いを胸に、今日一日、私も、恵泉に足を運んでくださる多くの方々も、それぞれの光が輝く一日であることを祈っています。

本日は恵泉祭にお越しいただき誠にありがとうございます。今年度は、私たち2年生が中心となり恵泉祭実行委員を務めております。
実行委員や各団体が様々なアイディアを出し合い作り上げた学園祭をぜひお楽しみいただき恵泉でのひとときをお過ごしいただければ幸いです。
また、本日を迎えるにあたり、ご協力いただいた地域の皆様、協賛企業の皆様、大学関係者の皆様に感謝いたします。
16時までどうぞお楽しみください。これより、2024年度恵泉祭の開始を宣言いたします。