ウィンター・プログラムご報告

2021年03月01日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

今日から3月です。グレゴリオ暦では冬と春の境目の月とされています。コロナ感染数は徐々に減少の方向に向かっていますが、まだまだ厳しい状況に変わりはありません。まもなく訪れる春を皆で心ゆくまで愛でる日が来ることを信じて、今しばらくの我慢の日々が必要かと思います。

そんな中、先月、心うきたつ催し(ウィンタープログラム)が実施されました。毎年、夏に行われていたサマープログラムの代わりとなるものです。アジア各地の協定校から参加する短期留学生が、日本語や日本文化を2週間にわたって学び、恵泉の学生たちもボランティアとして参加して、日本語授業のサポート、都内観光の計画から実施まで担うなど、活発な国際交流の場になってきました。今年度はコロナ禍で開催できず、残念に思っていたのですが、教職員の尽力でオンラインで開催されたのです。
ZOOM画面いっぱいに並んだ留学生と恵泉のボランティア学生たちの笑顔は、コロナ禍など吹き飛ばすような明るさに充ち溢れていました。

ウィンタープログラムを企画・運営志賀里美先生(日本語教育・日本語学)に寄稿していただきました。

サマープログラムは留学生が日本語を学ぶことはもちろんのことですが、実は恵泉の学生たちにも新たな気づきを与えてくれる「駅前留学」のような貴重な国際交流の場となっておりました。
そのため、オンラインではありましたが、新たな可能性を求め、第1回ウィンタープログラムを2月15日(月)から実施しました。26日までの10日間、日本の社会・文化を通して日本語を学ぶというコンセプトのもと、毎日9時から2時間のプログラムで、1時間目は日本の社会・文化を、2時間目は1時間目で学んだトピックに基づいた日本語を学びました。
初めてのオンラインによるプログラムのため、私たちは何人くらい参加してくれるか、ちょっと不安でしたが、聖公会大学の留学生たちが36名も参加してくれました。また、このプログラムは「シャワーを浴びるように日本語を聞き、日本語を学ぶ」ということが趣旨ですので、恵泉女学園大学のボランティア学生のみなさんが大きな役割を果たしてくれますが、果たして何人くらい集まってくれるか、これも不安でした。しかし、ボランティアの学生さんたちは45名、10日間で延べ231名も参加してくれました。

スケジュールは以下のとおりです。

9:00~9:50 10:00~10:50
2月15日 入学式 ウェルカムパーティー
2月16日 日本文化①(自己紹介) 日本語①
2月17日 日本文化②(アニメ) 日本語②
2月18日 日本文化③(和食) 日本語③
2月19日 日本文化④(日本の伝統文化) 日本語④
2月20日 休み
2月21日 休み
2月22日 日本文化⑤(日本の音楽) 日本語⑤
2月23日 日本文化⑥(ファッション) 日本語⑥
2月24日 日本文化⑦(日本の年中行事) 日本語⑦
2月25日 日本文化⑧(観光) 日本語⑧
2月26日 発表会 修了式/フェアウェルパーティー

クラスは3クラスあり、1クラスは約12名で、レベル別にAクラス、Bクラス、Cクラスです。各クラスの先生はAクラスが上原真知子先生、Bクラスが島崎英香先生、Cクラスが小野里恵先生でした。日本語がかなり上手な留学生もいれば、まったく日本語を学んだ経験のないゼロ初級の留学生もいます。

各クラスの先生方はそれぞれのレベルに合わせて、毎日のトピックにそって、ZOOMを駆使し、教えてくださいました。授業は留学生2名に対してボランティアの学生が1名つくことになっていますが、先生方はブレイクアウトルームを使い、グループに分け、留学生とボランティアの学生が話し合う時間をたくさん作ってくださいました。こちらは、Aクラスでブレイクアウトルームを使用し、お互いの国の食べ物について話す様子の写真です。ほとんどのボランティア学生は韓国語がわからないので、どうしたら留学生にわかってもらえるのか、いろいろ工夫してくれました。今回はGoogleクラスルームを使い、学生からも様々な意見を集めるといった試みも実施しました。そのいくつかを紹介いたします。

[Aクラス] 文章を作成し、発表する授業では、チャット機能を使って文章を作っていきました。また、オノマトペに関する授業では、ジェスチャーなどの動作で伝えていきました。

[Bクラス] 話していて伝わっていないなと感じたときは、チャットを使い、ひらがなで説明すると相手にうまく伝わりました。 今日のトピックはアニメやマンガだったので、実際に手元にあったマンガを見せて話しました。話が盛り上がってよかったです。

[Cクラス] Cクラスでは、ゆっくり話しても伝わらない場合もあるので、その場合は重要な単語を強調して話すと伝わることが多かったです。 また、伝わらないからと心配そうな顔をするのではなくとにかく笑顔で伝えると相手も理解しようと頑張ってくれました!

一方、留学生たちは、ボランティア学生と話し合う時間をどう思っていたのでしょうか。
Cクラスの学生たちは、次のように話してくれました。

 「授業で数人の日本人学生と話せてとても楽しかった。」
 「恵泉の学生さんも先生も親切で、楽しいです。難しいこともありません。」

Cクラスの2月19日の「日本の伝統文化」の授業では、留学生とボランティア学生が一緒に折り紙に挑戦しましたが、その時の写真です。

最終日に行った修了式とフェアウェルパーティーはこちらをご覧ください。

2021年2月26日

【修了式】10:00~10:25 *録画
司会進行:川井先生

1.開始の挨拶 日本語教育委員会 委員長 水上晃実先生 10:00~10:03
2.学生発表 A :全員で
B :キムミンジョン/キムミンソル
C :ゴンミンゴン/シンジフ
10:03~10:10
3.学長挨拶 学長 大日向雅美先生 10:10~10:15
4.修了証について 修了証 提示 10:15~10:18
5.終了の挨拶 川井先生 
~休憩(5分)~ 10:20~10:25

【フェアウェルパーティー】*録画 10:25~10:55
司会進行:栗田先生 ボランティア:国際交流サークル

1.開始の挨拶 国際交流委員会 委員長 楊志輝先生   10:25
2.お祈り  副学長 岩村太郎先生 10:25~10:28
3.乾杯(写真を撮る)  名誉教授 秋元美晴先生 10:28~10:30
4.2020ウィンタープログラム動画 国際交流サークル 10:30~10:35
5.歌の発表 各クラスごとに発表
A  嵐「ハピネス」
B/C ドラえもん「夢をかなえて」
10:35~10:45
6.授業担当の先生から一言
  • Aクラス 上原真知子先生
  • Bクラス 島崎英香先生
  • Cクラス 小野里恵先生
  • 教務委員会 委員長 笹尾典代先生
10:45~10:55
7.集合写真 スクリーンショットで全員を撮影 10:55
8.終了の挨拶 志賀 10:55

現在、韓国と日本との関係がうまくいっているとは言えませんが、両国の大学生たちはこんなに楽しそうに日本語を勉強しています。近い将来、これらの若者たちが両国の発展に必ずや寄与してくれることでしょう。10日間のウィンタープログラムを通して、私はこのように確信しました。
また、海外には出られない学生、またはコミュニケーション不足を感じている学生には貴重な機会となったようです。そして、私達教員自身も新たなことに挑戦することにより、新しい教育の可能性を感じた時を持てました。