恵泉ディクショナリー

貧困国際社会学科

[ひんこん]  poverty

貧困とは

ある人や国がどれ位貧しいかを測り、他と比較することは、実は大変難しいことです。
途上国と日本の「一人当りGDP」には大きな差がありますが、この値は国民総所得を人口で割った平均値なので、国内の所得格差が示されず、さらに国によって物価水準が大きく異なるために、実体や実感とは大きく異なります。
この所得貧困には、絶対的貧困と相対的貧困という二つの考え方があります。例えば世界銀行は、一日の所得が1.25ドル以下の人は、必要最低限の生活水準を維持するための食料や生活必需品を購入できる所得・消費水準に達していない絶対貧困者と定めました。今でも、四人に一人がこの水準以下です。ちなみにこの1.25ドルは、アメリカでこの金額で買える特定の物品を、ある途上国で購入するのに必要な現地通貨の額(購買力平価)を指しており、一般の両替額ではありません。
一方日本政府やOECDという先進国の国際組織は、相対的貧困を発表しています。これは全世帯をその世帯員の所得額順(等価可処分所得)に並べ、その真ん中の中央値の所得額のそのまた半分を貧困線とし、それに満たない世帯の割合です。最近の日本政府発表によると、2009年のこの割合は過去最悪の16%で、12年前の1997年の14.6%から大きく増えました。この数字は、OECD諸国の中では貧困が大問題のアメリカと並ぶ水準です。
貧困のもう一つの考え方は、人間貧困です。この考え方の背景には、インド出身の経済学者アマルティア・センが提唱した「ケイパビリティ(capability、潜在能力)の欠如こそが貧困だ」という考え方があります。何かをするために、ある人が選択できるか否かが重要で、その選択のためには、健康で早死にすることなく、適正な教育を受けていること、社会に参加できることなどが求められます。具体的には国連開発計画が1990年から、「出生時平均余命」、「就学率」・「成人識字率」、「購買力平価で示した一人当たり国民所得金額」をそれぞれ指数化して合算した人間開発指数を毎年発表し、国の発展を測っています。

2011年12月20日 筆者: 大橋 正明  筆者プロフィール(教員紹介)

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