恵泉ディクショナリー

漢陽歴史文化学科

[ハニャン、かんよう] 

漢陽とは

大韓民国の首都ソウルの呼称には、歴史的な変遷が見られる。ソウルは新羅時代の「みやこ」を意味するソボルがなまった固有語であるという説が有力であるが、ソウルは漢字表記ができない朝鮮語固有の語である。周知のように朝鮮半島は中国の古代王朝からの関係が強く、強大な中国との付き合い、あるいは北方の女真との関係など、外交面での労苦が絶えなかった。強大な中国との関係においては、事大主義的な傾向も強く、漢字文化は日本より古く紀元前2世紀頃に伝播している。しかし事大主義を排して独自性を追及したこともあり、儒教、特に朱子学が席巻した朝鮮にあって、明清交替期の17世紀中葉には「尊明排清」の思潮が色濃く両班エリートを支配した。清の満州人中心の政権樹立に対抗し、漢人中心の明における儒教世界を維持すべく、東方礼儀国として朱子学的世界を維持、発展させる気概を示したこともあった。

古くから漢字文化圏に取り込まれていったことから、漢字表記は一般的となり、漢陽は新羅時代からの名称で、「陽」が川の北側を意味することから漢水(漢江)の北、漢陽と称されるようになった。その後、揚州、南京と呼ばれた時代もあったが、高麗時代に再び漢陽府とされ、朝鮮王朝に入ると、1395年に漢城と改称された。1910年の「韓国併合」直後に、総督府令により「京城」と改称された。日本の支配からの解放後、民族としての独自性を示す意味から漢字表記を廃止して、ソウルと称するようになった。中国は永らく漢城と表記していたが、2005年の政府間協議により「首爾」(シュウェル)と表記されるようになり、中国では漢城から首爾へと徐々に変化してきている。

ソウルはもともと漢江の北側に王宮があり、古くから栄えたが、最近は漢江の南側の漢南地区の発展も目覚しい。漢陽の名称は、私立の名門、漢陽大学、漢陽女子大学に継承されており、もちろん漢江の北側の城東区に位置している。漢陽大学校、漢陽女子大学は、日本との交流も深く、恵泉女学園大学もそのうちのひとつであるが、現在、文化学科は指定校編入で漢陽女子大学校からの留学生を受け入れている。

韓国ドラマIRISに出演する笛木優子は漢陽大学の卒業生である。

2010年04月23日 筆者: 李省展  筆者プロフィール(教員紹介)

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