恵泉ディクショナリー

インドの建築歴史文化学科

[いんどのけんちく]  architecture in India

インドの建築とは

インドの歴史には、ざっと5000年もの時間が流れています。5000年などと言っても、正直、その長さを感覚的に覚えることは、まだ「人間時間」も終えていないところに、あっさり出来ることではありません。それでも、このような長い時間軸をもつフィールドに親しむには、建造物と対話をしてみるという方法もあるのではないでしょうか。

写真は教科書の口絵でおなじみの世界遺産「タージ・マハル」。ムガル朝第5代皇帝シャー・ジャハーンが皇妃ムムターズ・マハル(産褥熱で死亡)のために建てた破格の総大理石墓廟です。インドでは西アジア方面からの影響が名実ともに顕著となる13世紀以降、とくに西・北部地域を中心に人種的、言語的、宗教的、文化的に史上まれにみる混交のダイナミズムが展開します。タージ・マハルに代表される17世紀の建造物も例外ではありません。広くイスラー厶世界で好まれていた様式美を取り込みつつ、先行するインド石造建築1000年の歩みに築かれた「テイスト」もせめぎあいながら実は折り合いをつけています。

工事は今のインドをはみ出して、広く西アジア方面からも職工2万人が投じられ、足かけ22年もの大プロジェクトとなりました。もともとモンゴル系の血筋をひく、現アフガニスタンにあった一王国首長が興したインド・ムガル朝です。国境線に沿ってつい物事を考えがちな現代人に、実際は「どこそこの国のなにか」ではなく、はみ出して、常にどこかとつながっていることを建物も静かに、力強く教え示しています。

「タージは月夜の晩にご覧なさい」とは今は亡き恩師の言葉。その情熱に導かれ、歩き見つけた魅力をここ恵泉で出会う皆さんにお伝えできればと思います。そして今度は皆さんが、ご自身で歩いてみませんか。

2010年03月05日 筆者: 杉山圭以子  筆者プロフィール(教員紹介)

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