恵泉ディクショナリー

アメリカの貧困・格差国際社会学科

[あめりかのひんこん・かくさ]  Poverty in the United States of America

アメリカの貧困・格差とは

世界一の経済大国アメリカは、貧困大国でもあります。一般に貧困率とは、貧困と認識された人口(あるいは世帯数)の全体に占める割合です。アメリカでは連邦政府の定める貧困所得水準が貧困かどうかを判断する基準であり、貧困所得水準は最低かつ十分なアメリカ的食事に対する支出の3倍、簡単に言えば食費の3倍とされています。1970年代以降、アメリカの貧困率はおおむね10%台前半で推移し、2008年現在およそ13%(約4,000万人)です(絶対的貧困率)。

近年OECDが国際比較のために公表し、注目されているのは相対的貧困率で、これは所得の分布上でちょうど中間となる世帯の半分未満しか所得がない世帯の構成員の割合を示しています。この指標は、所得格差を示すものとも言えます。OECD(2008年)によれば、2000年代半ばのアメリカの相対的貧困率は約17%で主要先進国では最も高く、OECD加盟30カ国の中ではメキシコ、トルコに次ぐ第3位でした。

アメリカでは1980年代以降、経済的格差や貧困が拡大し続けており、6~7人に1人が貧困の状態にあります。なお、1980年代以降の格差拡大は日本も同様で、こうした問題への対処は日米両国の共通課題です。恵泉では国際社会学科を中心に、貧困や格差に関する諸問題を複数の授業で多面的に扱っており、例えばアメリカの貧困・格差は「地域研究特講(アメリカの経済と社会)」で学ぶことができます。

2010年03月11日 筆者: 坂井誠  筆者プロフィール(教員紹介)

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