【17歳で「子宮を取る」がん告知の夜】朝日新聞アピタル 英語コミュニケーション学科

2022年07月12日

出典:17歳で「子宮を取る」がん告知の夜、ピザ屋で父が言えなかった言葉

人文学部英語コミュニケーション学科 桃井和馬

大学の授業でも写真や文章をテーマにした授業を持っている関係で、「表現」に関心がある学生が私のもとには集まってきます。

プロの視点から、学生たちの写真や文章を見つめていくと、写真からは、撮ったその瞬間の「心の動き」が透けて見えてきます。書かれた文章の行間からも、書き手の本心を読み解くことができます。それが表現された作品の醍醐味でしょう。

上原あみさんが、私の授業「表現力実践講座」を取ってくれたのは、昨年のことでした。その時から、彼女の投稿する作品に、私自身が惹かれました。文章の端々に、大きな苦難を経験した者しか描けない独特の「世界」観が滲み出ていたからです。

そこから交流が始まり、上原さんの体験を聞く機会も得ました。今回の記事では特に、お父様の視線が同じ世代の男性として、私にとっても他人事ではありませんでした。

上原さんは、「子宮頸がんワクチン」の接種や、ガン検診などの大切さを常々、「若い人と伝えて行きたい」と考えています。

上原あみさん(人間社会学部 国際社会学科)のコメント

2018年7月26日。この日は私が子宮を失った日だ。妊娠出産が出来なくなる代わりに私は自分の命を選んだ。私は17歳で子宮頸がんを発病し手術、抗がん剤治療を受けた。その経験を基に自分の経験を話したり、経験を元に短歌を詠み、26人の女性がんサバイバーの方々と共に短歌集を出版したり、様々な活動をしている。特に婦人科系がんは妊孕性などに直接関わってくるため、その後の人生設計などにも大きく関わってくる病気である。私はそのような活動を通して、定期的にがん検診に行き、なるべく早く病気を見つけ、早期治療に繋げてほしい、という思いがある。早期発見、早期治療によってその後の人生への影響を少なくすることに繋がっていく。

今回は朝日新聞の記者の方に、自分のがん経験についてお話しさせていただいた。
私以外にも主治医の先生や父にも取材していただいたことをもとにした記事となっている。闘病中は母や祖母も日々見舞いに来て、私のことをサポートし、心配してくれていたが、今回のこの記事の中では娘のがんと向き合う父親の目線が多く語られている。

がん患者と家族の関わりについては女性の視点で語られるものは多くあるが、なかなか婦人科系がんの娘と患者家族の父親の目線というのは語れることが少ない。そのような視点を踏まえてこの記事を読んで頂けたら幸いである。

担当教員:桃井 和馬

恵泉女学園大学特任教授 写真家、ノンフィクション作家 これまで世界140ヵ国を取材し、「紛争」「地球環境」「宗教」などを基軸に「文明論」を展開している。テレビ・ラジオ出演多数。第32回太陽賞受賞。公益社団法人「日本写真家協会」会員。主要著書に「和解への祈り」(日本キリスト教団出版局)「もう、死なせない!」(フレーベル館)、「すべての生命(いのち)にであえてよかった」(日本キリスト教団出版局)、「妻と最期の十日間」集英社、「希望の大地」(岩波書店)他多数。 大学では、「表現力実践講座」「国際社会論」「国際情勢論」などを担当。

桃井 和馬