恵泉ディクショナリー

植民地主義遺産国際社会学科

[しょくみんちしゅぎいさん]  colonial heritage

植民地主義遺産とは

19世紀から20世紀前半にかけて、欧米諸国や日本などによって行われた植民地獲得競争は、現在に至るまで政治的・経済的・社会的な影響を多く残しています。そのような植民地主義にかかわる現代世界のすべてを「植民地主義遺産」と呼ぶことができますが、ここで特に取り上げたいのは、植民地支配を通じて植民地・宗主国双方に「モノ」として残った建造物や都市構造です。統治のために、植民地には総督府、道路、銀行、郵便局、公園、劇場などが建設されました。新しい都市がほぼまるごと建設されたこともまれではありません。

それらは、宗主国の権力の大きさを示すため、しばしば非常に壮大で豪華であり、時には最先端の技術やデザインを駆使して作られました。宗主国と現地のスタイルが混在する都市景観は独特の雰囲気があり、植民地主義が崩壊した現在では、それらを観光資源として活用しているところもあります。他方で、議論の末に、被支配の記憶を残すものとして解体されたところもあります。植民地主義遺産の扱いは社会によって異なる、繊細で難しい課題です。

また、それまでは知らなかった文明や文化に触れることによって、植民地支配を行った宗主国のほうにも新しいものの考え方が生まれました。必ずしも目には見えない場合もありますが、現在の都市に少なからず影響を与えています。この方面の研究はまだまだ少なく、これから大学生となる皆さんが積極的に開拓していける課題のひとつです。恵泉女学園大学で、ぜひ私と一緒に考えてください。

2010年01月12日 筆者: 荒又美陽  筆者プロフィール(教員紹介)

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