講義「 北タイの精霊信仰」

2022年09月20日  投稿者:IS3年 M.H

こんにちは。今回は、チャチャワン先生に教えていただいた「北タイの精霊信仰」について、お話したいと思います。タイは仏教国として有名ですが、タイに仏教が伝来する以前から信仰されている精霊信仰は、今ではタイ仏教と融合し切り離せないものになっています。しかし、タイの国民身分証明書にある信仰する宗教を記載する欄では、精霊信仰は宗教とは認められず記載できないため、精霊信仰を信仰している場合は、仏教と記載するそうです。

精霊信仰の精霊は目に見えない存在で、土地・家・村の守護霊、祖先霊、田畑や山川草木の霊、良い霊、悪い霊などが挙げられます。例えば、土の精霊がいる土地に家を建て、田畑で作物を栽培する際、土地や田畑の精霊に許しを請い、使わせてもらえることに感謝する儀式を行います。祖先霊崇拝では、儀式の際、五十代前の祖先まで遡って崇拝するアカ族もいれば、北タイ人は母側の祖先霊を崇拝し、儀式はその家の長女が担い、家を継ぐのは末娘、結婚の際は男性が女性の家に入るため、家の中の女性の役割が昔から重要でした。

今日のタイは王政、中国系タイ人、西欧諸国からの影響を受け、男性優位の社会に変化したそうです。日本が明治維新で文明開化が起きていた頃、タイもまた西洋諸国からの影響を強く受け、人々はそれまで持っていなかった名字を持つようになり、女性は結婚後、男性の姓を名乗るよう法律で制定されました。現在では①男性の姓を名乗る、②女性の姓を名乗る、③新たな名字を作成する、④夫婦別姓から選ぶことができるそうです。

お話を聞いて、精霊信仰を否定せず受け入れるという考えには親近感を感じました。悪い霊を追い出すために仏教のお坊さんが祈祷をするなど、興味深い点がたくさんあり、私の中のタイの宗教のイメージが変わりました。今後もきっと色々なことにおいて、自分が持っているイメージと実際に見聞きしたことが違うことが沢山あると思います。一つ一つ、実際はどうなのかをしっかりと自分の目で見て、話を聞いて考察していきたいと思います。

チャチャワン先生の「北タイの精霊信仰」の講義