恵泉ディクショナリー

庭園と文化交流歴史文化学科

[ていえんとぶんかこうりゅう]  Garden and cultural exchange

庭園と文化交流とは

通常、庭は一定の土地占有を前提とするから、古くは、有力者の特権的な趣味であった。力が誇示すべきものであるとするならば、庭園もまた見せびらかしの道具となる。立派な庭を造る動機の一部は、こうしたところにあっただろう。もちろん、時代が下り大衆化が進むと、土地は細分化されて小さな庭の持ち主が増えていく。それでもなお、庭はたえず外部の目を気にしている。

当然のことながら、庭は自然を加工した人為の産物である。とすれば、いかにも自然のままという様式が生まれてくるのは、一種の逆説であろう。18世紀イギリスに誕生した風景式庭園は、そういった「自然」な庭の典型である。日本で普段見慣れた光景としては、ゴルフ場が一番近いのではないかと思う。

風景式庭園も一律ではない。18世紀も後半になると、中国趣味が入ってくる。ロンドン近郊に世界遺産「キューガーデン」があるが、基礎はこの時期に築かれた。筆者自身、鬱蒼とした木立の中を歩き回っていると、中国風パゴダが忽然と現れて、不思議な思いをした。1761年に建設されている。

キューガーデンのパゴダを手がけたのはウィリアム・チェンバーズという建築家で、その著作『東洋造園論』には、中国庭園という「太陽を仰ぎ見て、その輝きをできる限り模倣しよう」と記されている。これとは逆に、中国では1759年にイエズス会士によって、西洋楼と呼ばれたヨーロッパ式庭園が「円明園」の一角に造られた。キーガーデンと円明園は、要するに、庭もまた文化交流のなかにあったということの実例である。

2010年04月06日 筆者: 高濱俊幸  筆者プロフィール(教員紹介)

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