五島美術館 春の優品展「吉祥の美」見学 日本語日本文化学科

2022年05月23日
 投稿者:日本語日本文化学科3年 YSさん
 ゼミ/授業名:3年ゼミ

5月3日に、3年ゼミの展覧会見学として、世田谷区の五島美術館で開催された春の優品展「吉祥の美」を鑑賞しました。稲本万里子先生と、東京大学でイスラーム美術の研究をされている枡屋友子先生の引率の下、4年のゼミ生のみなさんと一緒に、待ち合わせ場所の上野毛駅から五島美術館まで歩いて伺いました。

五島美術館 春の優品展「吉祥の美」

展示室は1と2のふたつに分かれており、展示室1では吉祥に関わる絵画や工芸作品、書跡などが展示されていました。特に記憶に残っているのは書跡の筆跡や筆圧で、同じ文字を書いていたとしても筆者ごとに差異があり、その時代に生きた人々を身近に感じることができました。

展示室2では平安時代に描かれた「源氏物語絵巻」の鈴虫第一段、鈴虫第二段、夕霧段、御法段が展示されていました。絵巻の隣には現代の技術で当時の彩色や技法を再現した復原模写が並んでおり、鮮やかな青色や銀色がふんだんに使われていていました。元の絵ではそれらの色が剥がれ落ちてしまっていることに一抹の寂しさを覚えつつ、それでも千年もの間この絵巻を残してきた方々の苦労を思い、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

また五島美術館には広大な庭園もあり、人による土地開発が進む都心で自然を感じることができる貴重な機会をいただきました。庭園内にはちょうど人一人分ほどの高さの赤門があり、それを潜るとまるでファンタジーの世界に行けるような気分を味わうことができ、とても楽しいひと時でした。

新型コロナウイルスの影響で美術品の展示が困難な中、それでも感染対策を徹底し展覧会を開いてくださった主催者の方々やスタッフの皆さん、また今回の展覧会見学を企画してくださった稲本先生、本当にありがとうございました。大変有意義な時間を過ごすことができました。

担当教員:稲本 万里子

現在の研究テーマはふたつ。ひとつは、平安時代の末に後白河院によって制作された絵巻群が、どのような意図をもって作られたのか、政治的な意味を探ること。もうひとつは、平安時代の「源氏物語絵巻」から現代の『あさきゆめみし』まで、数多く描かれた『源氏物語』の絵、すなわち源氏絵の作品研究と、源氏絵の展開を明らかにすることです。そのために、源氏絵の画像データベースを作成中。写真は桃山時代の源氏絵です。

稲本 万里子