知らないもののことは好きになれないが、知ることで好きになることもある 国際社会学科

2021年12月21日
 ゼミ/授業名:国際社会学科/多文化コース 2年ゼミ

 10月31日に毎年2年ゼミ恒例の「移民街を歩く」フィールドトリップに行ってきました。日本で国際結婚が増えていること、外国につながりのある子どもが増えてきている現状と、そしてかつて日本が移民を送り出していた国であったことなど歴史をゼミで学んだうえで、移民は一人ひとり主体的に生きている人として実感してく東京都内の散策です。普段、通学や買い物で見知っている街の別の一面を知ることで、「見えないものを見る力」も学べます。

参加学生の感想

 最初に行った東京ジャーミィはとても綺麗でそこだけ外国の様な場所でした。
私たち日本人にとってイスラム教は馴染みもなく「よく分からないけど、行っていいのかな...」と思ってしまいがちです。私もイスラム教に関わらず宗教に無関心な典型的日本人でした。しかし、東京ジャーミィには誰で立ち寄ることができます。一度足を踏み入れると壁に施された独特な模様、扉のデザイン、アラビア語で書かれた絵のような文字が描かれていて意味が分からないながらも綺麗で、宗教に無関心な私のままだったら知ることも出来なかった空間でした。次に行った移民街では、街の活気と猥雑さは背中合わせだということを感じました。池袋駅周辺に見られたガールズバー、韓流が流行る前の新大久保は売買春など過去もあり、以前外国人労働者が働かされていた通りを歩きました。いまでこそ多国籍化が進むに連れ、共生も進んでいる新大久保ですが、別の歴史を知ることができて良かったです。そして今回の課外授業では「知らないもののことは好きになれないが、知ることで好きになることもある」と感じることが出来ました。

 私は東京ジャーミィに初めて訪れました。住宅街の中に突然イスラム風な建築物が現れた時には驚きました。入口には、トルコらしいターコイズブルーやチューリップであしらわれたタイルや骨董品の数々。モスクでは、実際にイスラム圏に来てしまったかと錯覚するほどの美しい内装に目を奪われました。私達が中に入った時はちょうど結婚式の最中で、国際結婚が成立する瞬間に立ち会えるという大変幸運な場に遭遇することができました。

 池袋では、留学生の私が初めて日本的な視点から池袋を知ることができた。移民が集中して住んでいるため、池袋の北口は東京の中華街となっている。最後に新大久保で、私達は小道に深く入った。その中や通り沿いには、2つの社会があるように見えた。 新大久保のコリアンストリートとしての認識が変わった。日本での移民についての理解がより現実のものとして深まった。

東京ジャーミーのモスク
池袋・中国系銀行
池袋・雑居ビル内の中国人対応不動産
新大久保・ハラルフード店

担当教員:定松 文

現在2億人以上いる世界の移民の半数は女性です。少子化、高齢化、都市化の進む国は女性も男性も働き、掃除、料理、介護、育児など誰かに頼っていかなければ生活が成り立ちません。一方、仕事がない、現金収入が必要な地域では、豊かな国の下支えの労働のために、家族を故郷に残して海外に働きに行かざるをえない人々がいます。移民は偶然ではなく、政治的経済的構造が生み出すものとして、その問題点を多面的に考えます。

定松 文