コロナ禍での園芸療法活動 社会園芸学科

2020年09月04日
 ゼミ/授業名:卒業論文演習

私は園芸療法を中心に学び、園芸療法士の資格取得を目指しています。園芸療法は植物を介した人と人とのつながりを重視します。しかし今年のコロナ禍において、対面での交流が難しい問題に直面することになりました。

1.土曜園芸クラブの試み

感染拡大に伴い大学の休校が続き、授業が再開した5月になっても園芸療法の実習の目途がたたない状況でした。地域にお住いの方との園芸療法実習授業である「恵泉土曜園芸クラブ」だけでも交流を再開できないだろうかと学生同士で検討を重ね、ついに7月からZoomを用いての活動再開にこぎつけました。参加者の方はZoom機能に慣れない中、練習をしてくださり、再開した際には元気なお姿を見ることができてとても嬉しかったです。

2.施設での試み

施設での実習は、職員の皆様にご協力をいただき、多摩市内の特別養護老人ホームで動画を使っての活動を8月から再開、多摩市内の在宅サービスセンターと9月からZoomを使っての活動を開始することになりました。

3.様々な工夫

遠隔で実習するには工夫が必要でした。対面でないため、材料や道具をすべて人数分用意して各施設や先生を通じて利用者のお宅へ発送します。活動中の画面では作業工程を口で説明してもわかりにくい部分が出てきてしまうため、画面共有機能を使ったり、説明の紙を郵送した荷物に同封したりしてわかりやすい解説を心がけました。動画を撮影する場合はなるべく集中しやすいように5分以内に収め、聞き取りやすいように話し方に気をつけます。また画面の前にずっと座っていると体に支障が出てくることを配慮し、適宜、軽い体操の時間を入れることになりました。

4.人と人との繋がり

実習を再開して実感したのは、人と人とのつながりがいかに私たちの生活を支えていたかということです。3月から外出自粛が始まり、人とも疎遠になり閉じこもっているとどうしても陰気になりがちです。それは学生だけでなく、施設の方や地域にお住まいの方、特に独居の方もそうであったと思います。このような状況下であるからこそオンライン上ではありますが"集まれて良かった""元気が出た"とのお声をたくさん頂きました。今後新しい生活様式に沿って活動を続け、参加者の生活の質を高める工夫ができたらと思います。

(社会園芸学科4年 桝居奏)

担当教員澤田みどり

学生達はオンライン授業を生かし、コロナ禍であっても誰一人取り残さない社会を目指し、日々の暮らしを豊かに将来への希望の光を灯そうとアイデイアを出し合って工夫を凝らしています。彼女たちの姿は、「土に親しみ、植物を育て、いのちを慈しみ、花のある生活を築いていく女性を育成する。」という建学の精神の現れです。

自宅でも楽しく食べることを大切にと考えたカイワレ大根の水耕栽培キット。
各自がサフランを育て、雌しべを収穫して皆で集まれる日に持ち寄ってサフランライスを食べようという将来への期待が持てるプログラムも考えました

担当教員:澤田 みどり

園芸療法とは、植物や植物のある環境、植物を育てる園芸作業をひとの心や身体のリハビリテーションに活用する方法です。高齢者施設や障がい者施設、病院における支援や治療のプログラム及び、地域の在宅の方々への認知症予防、介護予防事業、引きこもり支援、社会参加のきっかけ作りとしても幅広く活動が展開されています。

澤田 みどり