恵泉生の「谷根千」ぶらり旅-東京の社会運動と街づくり 現代社会学科

2015年06月22日
 投稿者:上村英明、ゼミ
 ゼミ/授業名:上村ゼミ

ゼミの学生と教員が、1日または半日ぶらり、雑談に戯れ、ときに授業の内容についてより突っ込んだ話をし、あるいは取り留めもないそれぞれの人生や価値に関するおしゃべりしながら、ブラブラ歩くのも大学生活の醍醐味だと思います。もちろん、適当な場所でランチを取り、買い食いをし、喫茶店で休憩というややダラシナイ旅ですが、やってみるとなかなか刺激的なものです。

上村ゼミは、2015年1月18日、センター試験の休みを利用して、2年ゼミで、東京の文京区から台東区の一帯を散策しました。そうそう、ゼミのテーマは、日本近代の社会運動。戦前では、自由民権運動、普通選挙・社会主義運動、女性運動、足尾銅山と反公害運動、体制翼賛会と戦争体制などを学び、戦後では、学生運動、環境保護運動、国際協力、NPOとNGO、街づくり運動などを学びました。さて、文京区から台東区一帯は「谷根千」という愛称で呼ばれる、谷中、根津、千駄木の総称で、多くの教育機関、史跡、神社仏閣、小さな博物館やコジャレタお店が並び、下町を意識した独特な街づくりが進められています。まあ、旅の内容は取り留めもない話なので、コースそのものを紹介してみましょうね。

今回は半日コースで、12時に地下鉄本郷三丁目駅(丸の内線)に集合です。まず目的地は、60年安保、全共闘運動のシンボルとなった東大安田講堂。しかし、こちらもセンター試験の休みを利用した分、東大もセンター試験で立ち入り禁止、さらに学生食堂でランチの予定だったので、お腹もグー。正門の冊から安田講堂に「参拝」し、新しいコースの探索を兼ねて、農学部キャンパス沿いから東大病院を周り、不忍の池への道を歩きました。途中には竹久夢二記念館があり、東大医学部出身者の戦争慰霊碑も立っています。中には、今年天皇・皇后が訪問された西太平洋の拠点ペリュリュー島での戦死者の名前も。

きっと軍医だったのでしょうね。そして、腹ごしらえのランチは、不忍の池にある弁財天堂の周辺の屋台で盛り上がりました。最近の屋台は伝統的な食品の他に、韓国のチジミやトルコのケバブもあって国際的です。さて、満腹になると、上野の山へ。彰義隊と福沢諭吉の汚さ(血で血を洗う戦いを学生とともに三田の山からこれが文明開化だと言ったとか言わないとか)、西郷隆盛像と勝海舟と高村光雲、恩賜上野動物園の意味や東京国立博物館と天皇家の関係などをおしゃべりしながら、道を左へ折れると、東京芸術大学や都立上野高校一帯を過ぎて、いよいよ千駄木の界隈に入ります。小さな酒屋の博物館、大正時代をイメージした喫茶店、日本でここでしか食べられないという台湾ゼリーのデザート「愛玉子(オーギョーチー)」のお店。そこを過ぎると、小さなブティック、陶磁器のお店、竹細工のお店などがいい感じでならび、小さな通りをたくさんの人たちが散策しています。これが街づくりの一つのモデルですね。ゆっくり、ゆっくり歩き、谷中墓地と反対の方へ進むと、いよいよ谷中銀座の入口。かなり疲れたので、素敵な喫茶店でお茶を楽しみ、オーナーと店の由来についてまた雑談です。

そして、どっかり腰を上げると、銀座通りの本格的な散策です。小間物屋、肉屋、パン屋、スイーツ屋・・・・。さすが学生たち。食欲旺盛で、美味しそうなメンチカツやコロッケの試食買食いを何回もしていました。最後に、みんなと、画一的で近代的な街ではなく、こんな個性のある街に住みたいね、とマッタリと確認し、ぶらり旅は夕方銀座の反対の入口で解散でした。(了)

谷中銀座の入口で、マッタリ記念撮影

担当教員:上村英明

先住民族は、その多くが自然との共存哲学を持つことから、核開発、森林伐採、生物多様性の減少など幅広い分野で環境問題に関わり、こうした環境を人権や文化から考える視点を提供しています。同時に、先住民族の権利から、近代社会が生み出した市場競争原理や大量生産・大量消費のライフスタイルの見直しの必要性を、歴史的にまた具体的に考えることができます。

上村英明