ニホンジカとニッコウキスゲ 人間環境学科

2011年09月05日
 投稿者:篠田 真理子
 ゼミ/授業名:篠田ゼミ

2011年8月、篠田ゼミ恒例、2泊3日の夏合宿を行ないました。今年は白樺湖畔に宿泊。宿の手配、しおり(図1)、会計、時間管理と、全て4年生が役割分担して運営しました。 2日目には、これも恒例の自然観察ハイキング。地元の山に詳しい方に案内をお願いし、霧が峰高原散策を行いました。車山山頂で思いもよらず気象庁のレーダー基地を見学したり、湿原の植物を満喫したり、半日の充実したコースでした。
ちょうどニッコウキスゲ(図2)が見ごろでしたが、数年前はニホンジカの食害にあって、ほとんど花が咲かないときもあったそうです。そのため電気柵(図3)が設けられ、今年は無事に開花を迎えました。柵の内と外では一目見て花の数が違います。そこから、美しい高山植物を眺めるだけではない疑問がゼミ生からあがってきました。

車山を歩いていて気になったことは、シカの食害被害を防ぐために電流対策がされていたことだった。環境省の資料によれば、シカの食害対策として電流対策の他にシカの追跡調査をして植物の保護・再生をおこなっているそうだ。それだけを見てしまうと、シカよりも植物保護の主張が強く、なぜシカが増えてしまったことや数の抑制について対処されていないのか疑問に思った。あの綺麗な風景を見られなくなるのは嫌であるが、高山植物かシカかという問題ではなく、シカの生きる生態系も考える必要があるのではないかと思った。そういうことを感じることができたのも、実際に山を登ったからだと思うので、今回、山を登る機会があって良かった(4年佐野萌美)。

簡単に答えが出せることではありませんが、これをきっかけにこれからじっくり議論していきたいと思います。
合宿では卒論に向けた3、4年合同の研究発表会も行います(緊張感に満ち満ちています)。終わった後はリラックスしてコンパ。今年は、初めての試みで「名刺交換会」を開きました(図4)。社会人としてのマナーと自覚を身につけることが目的でしたが、思わぬ副産物がありました。①完全には互いの名前を覚えていない3年生と4年生の橋渡しになった ②それぞれが工夫を凝らして個性的な名刺を作ってきたので、それをきっかけに自然に話が弾んだ ③よく知り合っている同学年のゼミ生同士も、新たな側面を発見?
秋学期に、一回り成長したゼミ生と再会するのが楽しみです。

図1 合宿のしおり

図2 ニッコウキスゲ

図3 電気柵

図4 名刺交換会

担当教員:篠田 真理子

環境問題は家庭生活、地域社会、学校生活など身近な場所から地球規模まで、さまざまな領域と絡み合っています。難しい議論はたくさんありますが、自分にとって快適に暮らすこと、自分以外の人々――同じ国に住む人や遠くの国の人――にも自然にも負荷をかけないこと、と考えれば単純なことかもしれません。ワクにとらわれず一緒に考え実行していきましょう。

篠田 真理子