2月8日「観光遺跡の歴史」

2023年02月19日 

カンボジアについて4日目、プノンペンからシェムリアップへ移動。この日は1日アンコール遺跡を見て回りました。

アンコール遺跡群に向かうシェムリアップの街並みは首都プノンペンよりも落ち着いていて、ゆとりのある印象。交通量や通行人の数も少なく感じました。国の宝であるアンコールワットへの敬意と景観保護の観点から高い建物等の開発は禁じられているため、建物は低く、豊かな自然と馴染む造りになっている印象でした。

最初に見たのは「タプローム遺跡」です。ここは、12世紀後半に、アンコール王朝国王ジャヤバルマン7世によって建立された仏教寺院です。タプローム遺跡の見どころはガジュマルと遺跡が一体となっているところだと思います。遺跡の上から大きな木が生え根っこで覆われている光景が非常に幻想的でした。遺跡と木が一体となっているので、木が枯れてしまったら遺跡も一緒に崩れてしまいます。修復途中やこれから修復予定の遺跡もありました。

昼食をとってから「アンコールトム」に向かいました。ここもジャヤバルマン7世によって建てられた仏教寺院ですが、北西はヒンドゥー教、南東は仏教とエリアが分かれていました。一面に彫られている壁画は様々な歴史が刻まれており、庶民がお祈りする際に目にするエンターテインメントの役割をしていたそうです。石を運び、彫刻を掘るのにどれだけの時間と労力がかかったのか、考えるだけで圧倒されました。

最後に、12世紀の前半にアンコール王朝のスーリヤヴァルマン2世によって、ヒンドゥー教寺院として建立された「アンコールワット」を訪れました。
私たちは、かつて王専用の門とされた中央の「王様の門」からアンコールワットに入りました。死を意味し、祀られているヴィシュヌ神にゆかりのある「西の方向」に遺跡の正面が向いてるのは、自分が亡くなったときにここに納めてもらい、自分も神様のような存在となりたい、という王様の願いによるものだそう。
世界が海に囲まれていることを模して、東西1.5km、南北1.3kmの堀で遺跡は囲われています。
ここで印象的だったのは、至る所にある首なし仏像。これは、ポル・ポト時代の内戦による破壊や13世紀の廃仏運動、また、仏像に埋め込まれた宝石を求めて盗掘された跡などと言われているそうです。仏像の首は今でも見つかっていません。

これらのアンコール遺跡群を見学して、緻密な設計や壁画、偶発的な装飾が語る物語から、遺跡と共に生きた人々のリアルな生活と一片のロマンを感じ、歴史に思いを馳せる時間を過ごしました。

(国際社会学科4年 田中美宇、国際社会学科3年 髙瀨瞳)