2013年7月

海洋国家のシンボル ―― ピサの大聖堂広場(イタリア)

2013年07月26日

「郷土愛」としばしば訳されるイタリア語に、「カンパニリズモ」(campanilismo)という語がある。ただし、日本語で郷土愛といった場合とは違って、カンパニリズモの持つ語感は必ずしも良いものではない。自分の住む町こそがどこよりもすぐれているというような偏狭な思い込みを揶揄して、むしろ否定的な意味合いで使われることが多い。

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大聖堂と背後の斜塔

ウルル/エアーズ・ロック―畏敬の念を起こさせ、信仰をめざめさせるもの(オーストラリア)

2013年07月22日

1985年、ウルル(当時エアーズ・ロックと呼ばれていた)はオーストラリア政府によってアナングの人々に返還された。アナングは、ようやくウルル・カタ・ジュタ国立公園の伝統的所有者と認定され、この巨大な砂岩の岩に対する彼らの伝統的な名称のウルルは、以前の名称であるエアーズ・ロックにとって代わることになった。近年は、名前を二重にして呼ばれている。この岩とそれを取り巻く地域は、驚くほど美しく、特殊な場所として存在している。そこから見られる景色は、平らな赤い大地の360度のパノラマであり、ウルルそのものと遠くのカタ・ジュタ(オルガ岩群)以外にはさえぎるものは何もない。空はこの平らな赤い風景を日中青いドームで覆う。夜には星をちりばめた奇跡となる。

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夕日に染まるウルル

人類文化史上、最大の絵画!?(ナスカおよびフマナ平原の地上絵、ペルー)

2013年07月15日

マチュピチュに次いで日本人に人気が高いアンデス文明遺跡といえば、ナスカ、とくにその広大な砂漠の台地をキャンバスにして描かれた巨大地上絵であろう。あまりの大きさに上空を飛行機が飛ぶようになるまで千年以上も発見されなかったといわれる地上絵だが、その不可思議な線の存在については、インカ帝国を征服したスペイン人による1550年の記録の中ですでに言及されており、またこのナスカの地上絵が20世紀考古学史上最大の発見のひとつとして世界中の注目を浴びるきっかけとなった1939年のアメリカ考古学者ポール・コソックによる偶然の発見の以前から、ペルー人飛行士たちの間では不可解な線としてよく知られていたらしい。

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ナスカ平原の地上絵(ハチドリ)

華城と実学(大韓民国)

2013年07月01日

朝鮮王朝で学問の振興に熱心であった国王は世宗と正祖であるといわれている。第14代国王の世宗は集賢殿に知識人を集め、民衆の文字へのアクセスを容易にするハングルを考案させた。第22代国王の正祖は、王立図書館・奎章閣(けいしょうかく)を創設し、内外の書籍収集に尽力している。

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城壁と遥かにかすむ将台