選定理由

この取り組みは、恵泉女学園大学人間社会学部の専門性をもった教養教育による市民の育成という教育目標を達成するために、1999年以来導入された体験学習を学部教育の中核に組み込んだ教育プログラムで、卒業生の中から青年海外協力隊、JlCAジュニア専門員、国際NGOなどに加わる者を輩出するなど、注目すべき成果を挙げています。この教育プログラムは、海外を主とした長期・短期のフィールドスタディ、地域社会での多様なサービス活動に参加するコミュニティサービスラーニングの三つから成っていますが、とりわけ、学生を北タイ地域に1セメスター派遣する長期フィールドスタディは、チェンマイ大学の協力を得て実施される体験学習を軸に事前学習・事後学習を配置し、体系的に構築されています。長期フィールドスタディは、プログラムの性質上、参加者は学部生の5%程度に限られているとはいえ、短期フィールドスタディには40%に上る学生が参加しており、異文化理解の上に立つ地球市民の育成という現代的課題に応えるものとなっています。
今後、いくつかの大学と組織している「大学教育における海外体験学習研究会」での検討を踏まえ、フィールドスタディの充実を期すとともに、発足したばかりのコミュニティサービスラーニングの拡充を期待します。

選定をうけて

本学が1999年度からフィールドスタディとして取り組んできた「体験学習」が、「特色ある大学教育支援プログラム」として選定されたことは、大きな喜びであり、この教育活動を関係する教職員、学生とともに続けるうえで大きな自信を与えられました。
示された「選定理由」に、フィールドスタディを履修した卒業生たちが、国際協力に携る政府機関やNGOで活動していることが挙げられています。こうして第一線で活躍する人材を輩出することは、間違いなく私たちの目的の一つではあるのですが、それだけには留まりません。
フィールドスタディに参加した卒業生の多くは、こうした国際協力に関わる人材だけではなく、普通の社会人や家庭人、あるいは生活者になっています。彼女たちは、仕事や生活あるいは余暇などの日常生活の様々な局面で、外国人や異なる文化的・歴史的背景を持った人たちと触れ合っています。こうした際に異文化に対してありがちな偏見から自由であり、さらには異文化と積極的に関わるような人材を育てることが、本学の取り組みのもう一つの大きな目的です。私たちの取り組み名称にある「専門性を持った教養教育」や「社会的公正をグローバルに目指す市民の育成」と言う言葉は、このことを示しています。
しかし卒業生たちに日常生活における意識変容を目指す私たちの取り組みが、実際にこうした結果を生んでいるかどうか、適切に評価することは容易ではありません。この課題は、同様な試みを行っている他大学との連携を深めながら、今後とも前向きに追求していきます。
また「拡充を期待する」と述べて頂いたコミュニティサービスラーニングについても、学生が取り組むテーマの多様化、体験学習先の多様化を図りながら、一層しっかりとした内容を持つものに育てていく所存です。