中国FSで学んだこと(短期FS参加学生報告)
2008年11月17日
本学では木曜日を除く平日午前10時30分から10時55まで、チャペルにてチャペルアワーと題して礼拝を行っています。チャペルアワーでは、聖書の朗読、讃美歌斉唱、パイプオルガンの演奏のほかに、「感話」の時間を設けています。この感話とは、学生や教職員らが今思っていること、感じていることなどをメッセージとして参列者の前で語る時間です。
2008年10月6日(月)には2008年度春学期CSL参加学生(2名)、10月8日(水)には2008年度春学期短期フィールドスタディ参加学生(中国・アメリカ・カンボジアそれぞれ1名ずつ)が、チャペルアワーにおいてそれぞれの活動を終えての感話を行いました。
『中国FSで学んだこと』
私たちは、9月4日~13日の間、上海と南京を訪れました。私たちは、そこで日中間にある歴史問題を考えたり、上海で活躍する日系企業を訪問したり、中国の大学生と討論会を行いました。
私がこの中国短期FSに参加したのは、現在の中国を自分の目で見て、中国がどんな国かを知りたいと思ったからです。
日本と中国は地理的に見ても近い国で、歴史的に見ても深い結びつきがあります。そして、中国は、夏に行われた北京オリンピックや2010年に開催される上海万博などにより活気付いています。しかし、最近日本でみられる中国というのは、歴史問題による対立、人権問題、食品の安全性の問題とあまり良いイメージがありません。私は、その影響を受けて中国は怖い国だと思っていました。特に、2005年に起こった反日デモは私にとって大きな影響を受けました。当時、高校生だった私は、自分と同じ年代の若者がそのデモに参加していることを知り、とてもショックを受けました。また、どうして日本に対してデモを行うのかと疑問に思っていました。でも、学校で出会った中国の留学生や、バイト先で出会った中国人の方々とお話をしていても、怖いと思うことはありません。このようなことから、私は、自分が考えている中国と実際の中国は違うのではないかと考え、中国を自分の目で見たいと考えるようになりました。
中国の地に立ってみて、やはり驚くのは人の多さと車やバイクや自転車の多さ。そして、立ち並ぶ高層ビルと高級マンション。上海の街並みは私が思い描いていたような中国とは違い、日本とあまり変わらないという印象を受けました。また、どこに行っても建設中の建物が目立ちます。この建物たちや街並みを見ても中国が発展していることが感じられました。
そして、ホテルや食事場所の従業員の方々、お世話になった大学の先生方や、訪問先で出会った方々は皆、私たちに対して親切にしてくれました。日本人だということで警戒している様子はなく、むしろ壁を作っていたのは私の方だったと気づかされました。博物館や記念館を訪れたり、いろんな方とお話をしたりと、中国で過ごす日々を重ねるごとに、私の中にあった怖いというイメージはだんだん薄れていきました。
一番緊張した中国の大学生との討論会では、意見を言い合い、お互いのことをより知ることができました。中国の学生は私が想像していた以上に日中間について関心を持ち、日本のことを考えていました。私が気になっていた反日デモについては、今回討論をした学生の中にはデモに参加した人はいませんでした。彼らの話から、中国の学校の先生方がデモに参加しないように呼びかけていたということを知りました。また、私がメディアから見たような過激なデモは一部の人たちによるものだということも知りました。私は、なぜ反日デモが起きたのだろうかと考えていました。その原因は、やはり日本が中国の人々の国民感情を傷付けるような行動をしたからでしょう。でも、私はそれだけではないような気がしました。彼らと討論をしていて、また中国で過ごした10日間を通して感じたことは、中国にとって日本という国はなくてはならない存在であり、そのために、日中間で清算しきれていない問題をクリアにしていきたいということ。だからこそ、日本の対応に厳しい目を向け、時には厳しい批判、それこそ反日デモのようなことが起こるのではないでしょうか。しかし、過激なデモは、お互いの感情をより悪化させ、何の解決にもなりません。私たちが出した結論は、今後の日中関係を良くしていくためには、政府同士だけではなく、民間同士、特に若い人たちが交流をしていくこと、そして、お互いを認め合うことが大事であるということです。
中国は私が考えていたように決して怖い国ではありませんでした。人々も、考え方が少し違うだけで、自分とほとんど変わらないことがわかりました。また、中国の学生たちが、今後の日中関係について考えてくれていることもわかりました。この中国短期FSを通して、私が多くのことを学ぶことができたのは、実際に現地でたくさんのものを見て、いろんな人と交流し、互いを深め合えたからではないかと思います。私は、今回の経験をたくさんの人に伝え、多くの人に私が見た中国という国を伝えることができればと考えています。そして、私自身もまた中国に行き、もっと多くの人と交流していければと思います。