フランス王に正統性を与えた地(ランスのノートルダム大聖堂、サン・レミ修道院、トー宮殿)

2013年08月02日

リュック・ベッソンの映画「ジャンヌ・ダルク」(1999年公開)のハイライトの一つは、シャルル7世の戴冠式のシーンだろう。ジャンヌの快進撃によって、シャルルは大聖堂でフランス王としての儀式を行うことに成功し、冠を受ける。しかしその後、お墨付きを得た彼は、戦争を継続する意思を喪失してしまう。まもなくジャンヌは捕えられ、異端審問を受けることになる。

このシャルル7世が戴冠式を行っていたのがランスの大聖堂である。フランス王家の始祖であるクローヴィスがランスで洗礼を受けたとされ、その後のほとんどのフランス王がランス大司教によって聖別された。12世紀までには、大聖堂での戴冠式が儀式として確立していたという。漫画『ベルサイユのばら』では、ルイ16世の戴冠式の際、マリー・アントワネットが「あのさし絵にあった歴代国王の姿とそっくりおなじ」と感動している。大聖堂の宝物庫には、最後の「フランス王」であるシャルル10世が1825年に行った戴冠式の衣装が保管されている。

ランスの街は、第一次世界大戦の際ドイツ軍によって空爆された。大聖堂は火災によって壊滅的な被害を受け、フランスのドイツへの敵意をあおることになる。修復には20年の時を必要とした。ステンドグラスも多く失われたが、新たにアーティストたちが機会を得ることにもなった。1974年には、マルク・シャガールによるステンドグラスも導入された。ユダヤ系であり、ロシア系である彼のステンドグラスには、その出自を感じさせるモチーフも含まれているという。右の窓には、クローヴィスの洗礼や戴冠式の様子なども描かれている。

ランスがあるシャンパーニュ地方は、シャンパンを生産する地域としても知られる。大聖堂の近くにも多くの醸造所があり、見学したり試飲したりすることが出来る。フランスでは、同様の作り方をしている発泡ワインであっても、この地域でかつ特定の製法で作られたもの以外は「シャンパーニュ」と呼ぶことはできない。このような制度を原産地呼称統制といい、現在はイタリア、スペインなど多くのワイン生産国がこの制度を用いて自国のワインを保護し、価値を高めている。

荒又美陽(人文地理学)

ランス大聖堂

シャガールのステンドグラス

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