「威容」とはこのこと ―塔の上に塔(ケルン大聖堂)―(ドイツ)

2012年06月25日

東の方から鉄道を利用してケルンに向うと、ケルン中央駅に到着する直前、車窓いっぱいに圧倒的な迫力をもつ建築物が現れる。もしヨーロッパの大聖堂を初めて見る人なら、これは一体何か、と思うに違いない。
美しいというのとは違う。巨大である。塔は高く、ゴジラの背中のようにギザギザ、トゲトゲしている。「威容」という言葉が最も相応しいのではあるまいか。これがケルン大聖堂である。

巨大と言ったが、実はこの聖堂、世界最大でもドイツ最高でもない(塔の高さで言えば、南ドイツのウルムにある聖堂の方がわずかに高い)。だが迫力は最大ではないだろうか。ヨーロッパには大聖堂が数多くある。しかしケルン大聖堂のように中央駅のすぐ隣に位置しているものは他に例を見ない。この迫力は街中にあるためと、何より車窓に近々と迫って見えるからであろう。
交通・運輸の大動脈であるライン河沿いに位置するケルンは、ドイツでも最も早くから開けた地域の一つで、都市の起源はローマ軍駐屯地から発展した植民都市にある。「ケルン」の名はラテン語の「コロニア(植民地)」に由来する。だからケルン市内にも多くのローマ遺跡があり、その中の一つは大聖堂前の広場の「北門」だし、大聖堂の駅とは反対側の隣には古代ローマ博物館があり、多くの遺物が展示されている。中世、ケルンは選帝侯の一人として権勢を振るった大司教の座となった。
大聖堂の建築には、礎石が置かれた1248年から一応の完成を見る1880年まで、実に600年以上を要した。建築様式は着工当初の時代のゴシック様式。ゴシック建築の最大の特徴は、高い建物と大きな窓のある壁を支える補助的構造物(バットレス等)、それらを飾る小塔、その上に立つ小尖塔、さらにその上に......つまり塔の上に塔を重ねる点、そして大きな窓にはめ込まれたステンドグラスである。末端の小尖塔に至るまですべてが石造で、石工たちの高い技術が示されている。ケルン大聖堂はドイツのゴシック建築を代表するものとして1996年世界遺産に登録された。

川戸 れい子(ドイツ近現代文学)

ケルン大聖堂尖塔群

ステンドグラス、天からの光

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