ブレナム・パレス(イギリス)

2011年05月25日

パレス(宮殿)という名であるが王宮ではなく、モールバラ公爵家が代々暮らしてきたイギリス貴族の館(「カントリ・ハウス」)である。オックスフォードの近郊ウッドストックに位置する。壮麗な建造物を広大な庭園が囲むのは、カントリ・ハウスならではの姿である。著名な造園家ランスロット・ブラウンが、1760年代に大改造を加えて今の庭園の姿になった。改造によって川がせき止められて湖となったといわれるが、川を遡ってみると滝が落ちていたりする。ブラウンの仕事は「あまりにも見事に自然を真似たものだから、彼のしたことは自然そのものと思われてしまうだろう」と評されたそうだが、まさにそうした風景式庭園の典型と言える。

18世紀のイギリスはフランスとの戦争に明け暮れた。その皮切りともなったスペイン継承戦争(1701-14)で、初代モールバラ公爵ジョン・チャーチルが総司令官として大きな戦功を挙げたことが、ブレナム・パレス誕生のきっかけとなった。当時の女王アンは1704年のブレンハイムの戦いの勝利を喜び、広大な王領地と巨額の建設資金を褒美として与えたのである。戦地ブレンハイムを記念してブレナム・パレスと名付けられた。庭園の一角に「勝利の塔」が高く聳えるのも、同じ理由からである。
その後のブレナム・パレスの歴史を一瞥すると、モールバラ公爵家の分家筋にあたる政治家ウィンストン・チャーチルがこの館で誕生したのは、1874年のことである(早産だったためか小さめの産着が、今もこの館に展示されている。)1908年の夏、庭園の一角に立つダイアナ神殿で、チャーチルはクレメンタインにプロポーズしている。フランス人造園家によって整形式庭園が付け加えられたのは、1920年代のことである。1987年に世界遺産に登録された。

高濱俊幸(イギリス思想史)

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