クリスマス&新年レポート 派遣留学生の声:イギリス

2023年01月19日 投稿者: 英語コミュニケーション学科 伊藤すみれ

クリスマス

窓越しに見えたクリスマス飾り

時期が少し遅くなってしまいましたが、今回は私が体験した海外の「クリスマス」をレポートします。

チチェスターの街は、ハロウィンが終わるとすぐにクリスマスモードに突入します。スーパーマーケットではクリスマスの装飾品、洋服などが売られ、文房具屋さんではクリスマスカードとラッピングが店頭に並び始めました。

街全体が飾りつけされだけでなく、道行く人や学校の先生もクリスマス・セーターを着るなどどこもかしこも賑やかそのもの。

スーパーの入口では、トナカイの鼻に飾る人参が無料で配布されていました。

担任の先生のクリスマス・セーター
トナカイルドルフ用の無料人参

クリスマスツリーは11月中旬あたりから家や街の至る所で飾り付けが始まっていました。
クリスマスの1ヶ月前、11月26日には、チチェスターの街の中心街でクリスマスツリーの点灯式が行われたのですが、その時は、歩くのも困難なほど大勢の人が集まりました。交通整理とクリスマスキャロルの担当はサンタさんの帽子をかぶった20人ほどの人々です。

チチェスターのツリー点灯式
サンタの格好をしている人

またボランティアの方々が主催したクリスマス交流会では、イギリスの恒例行事としてそれぞれの家庭で手作りしたクリスマス伝統の「ジンジャークッキー」を披露し合いました。ショウガを練り込んだジンジャークッキーは、元々魔除けの意味あいがあったと言います。思い思いの形やデザインが家庭ごとに違うこのクリスマスのお菓子を前に、小グループに分かれた参加者が、どの家のものが素敵かを競い合ったのです。

一緒に来ている恵泉生とのジンジャーブレッドハウスづくり
別のグループのジンジャーブレッドハウスづくりの様子

12月になってから街々で始まったクリスマス・マーケット。
私が足を運んだのはポーツマス、マンチェスター、キングストンのマーケットでは、定番のドイツ・ソーセージのホットドッグやグリューワイン(ホットワインのこと:Mulled wine)のお店に加え、オランダ・パンケーキのお店、チーズ屋さん、アクセサリー、石けんなどのお店もクリスマスムードを盛り上げていました。
ステージも常設されており、歌や演劇で訪れた人々を飽きさせません。

人で込み合うウィンチェスターのクリスマスマーケット
大釜でグリューワインを煮込むおじさん(ウィンチェスター)
キングストンのクリスマス・マーケット

大学は12月16日から冬休み。ヨーロッパから来ている留学生たちはクリスマス休暇を基本的に家族と過ごすため、ほとんどが自国に一時帰国していました。

この時期、約30年ぶりにストライキが多発していたため、多くの公共交通機関が運休に近い状況だったため、どの道路も帰郷する人々の車で大渋滞。
12月24日~26日までは、電車も"クリスマス休暇"で運休。スーパーマーケットも25日だけは完全休業だったのです。

マルタ旅行

冬休みに入るとすぐ、イタリア、シチリア島南部に位置する国マルタに向かいました。
マルタは地中海に浮かぶ人口52万人の小さな国ですが、中世においてマルタ騎士団が本拠地とした国として、また20世紀末期には、アメリカとソ連の首脳が冷戦の幕引きを話し合った「マルタ会談」が持たれた国として知られています。

静寂の町と呼ばれる古都イムディーナに続くゲートの一つ
首都から少し離れた住宅と畑
イムディーナの街並み
ゴゾ島の大要塞チタデルと猫
イムディーナにある聖パウロ大聖堂

そのマルタ島でも国中がクリスマス一色でした。
イギリスとは少し異なっていて、マルタ島では、ほとんどが自宅の窓にデコレーションされた天使やマリア様の人形です。街でいくつも目にした教会の前には、イエス様が生まれたシーンを再現したレプリカが置いてありました。(Christmas Cribという伝統的な飾りだそうです)

クリスマス・クリブという飾り
クリスマス・クリブという飾り
クリスマスツリーの下に置かれたプレゼント

首都バレッタの街中にある巨大ツリーの下にはなんと、大量のプレゼントが置かれていました。隣には簡易小屋があり、そこの中にもたくさんのプレゼントが! これらはすべて「困っている子供たちの為に寄付されたプレゼント」で、"Give a Gift with love"と呼ばれるイベントとのこと。

現在のマルタ首相のファーストレディー、Lydia Abelaさんとその娘さんのGiorgia Maeさんによって発案されたクリスマス企画だったのです。

これはマルタだけではなく、フランスにも同様のイベントがあり、集められたプレゼントは、路上生活者や難民の方々に渡されるそうです。すべての人が幸せに過ごせる一日であるように! という思いが込められた心温まるプログラムでした。

再びイギリスへ

クリスマスにボランティアさんのお家でごちそうをみんなで食べました

さて、クリスマス当日、イギリスに帰国していた私は、お世話になっているボランティアさんとともに教会に行き、賛美歌を歌って、子供たちがもらったプレゼントを紹介してもらいました。毎年、クリスマスには家族全員で教会のクリスマス礼拝に参加するとのこと。

教会に行った後は、ボランティアさんのお宅にお邪魔させてもらい、豪華なお昼ご飯を一緒に頂きました。その場にはウクライナから避難して来た方々もいらっしゃり、お話を伺うことが出来ました。家族は未だにウクライナに残っているそうです。

ウクライナの人たちと一枚

「クリスマスに家族みんなで過ごすことができなくてとても悲しい」と顔を曇らせました。実際にウクライナの方から現在の状況を聞くことができた貴重な時間でしたが、胸が締め付けられる思いもした体験でした。

イギリスの新年

冬休みには、イギリスの古い田園風景がそのまま残る人気の観光スポット「コッツウォルズ」という町に行くことも考えていましたが、ストライキがまだ続いていた為、電車も運行しておらず、結局どこに行くことができませんでした。
大晦日はお店が開いていたのですが、元旦はクリスマス同様、どこのお店も閉まっていました。寮にはほとんどの人がおらず、静寂そのもの。

クリスマス後の12月26日からはイギリス最大販売商戦「ボクシングデー」が!
その後もお正月にかけて、街では多くのお店でセールが実施されていました。
ドラッグストア「Boots」でも半額セールが行われており、化粧品などが安くなっていました。私がそこで買ったのは半額になったハリポタのコスメです。

1月1日は、ひっそりと静まりかえった寮でお雑煮を作って食べました。
寮の警備員さんに「お休みあるの?」と訊ねたところ、「クリスマスも年始もお休みはないよ」と小さく首を傾けてくれたのです。

2023年、私の新年は、チチェスター大学の静寂に包まれた寮の中で、自分自身を見つめる時間と共に始まりました。