カウンターだより
本に囲まれて過ごす図書館スタッフの、日々のつぶやきです。感想は直接カウンターまでどうぞ。
バスの中で
2025年05月27日
買い物帰りの路線バスで1人掛けの席に座っていると、あるご婦人が私の荷物(頭を越す長さの緑色の細長いもの)を気にしながら前の席に座った。どうしようか迷った後に、意を決したように振り返り、
「それは何ですか」とお聞きになる。
「ふきです」とにっこりして答えると、
「ああ、ふきね。葉っぱが無いから何かと思って。」とおっしゃった。
ご明察。つい衝動買いしたのだが、少し安かったのは葉を落としてあったためかもしれない。そう伝えると、ふきの葉はお味噌汁に入れると美味しい事や、旬のにんじん葉の話題になり、最近見ませんねと言うと入手方法まで教えてくださった。知らない人とのちょっとしたやりとりが、何と楽しかったことだろう!
これが電車ならどうか。音楽教室へ通うため楽器を持って地下鉄に乗ると、ケ-スの形が特殊なせいか、たまに「何の楽器ですか」と聞かれる。たいていは高齢者の方だ。だが、答えても「ああ、そうですか。有難う。」で終わってしまう。おそらく楽器がマイナーすぎるのだろうし、説明しようとしても色々な音にかき消されたりもする。話が弾むのは、車内が意外と静かな上に座席の間隔も狭く、他人の視線があまり気にならないバスの空間ならではだと思う。
私は乗り物に酔いやすく、動いている車内では本もスマホも開けない。しかし、周囲では実に色々なドラマが起こり、見飽きることがない。ドライバー同士の無言のコミュニケーションを無視する車や強引な割込み、バイク・自転車・歩行者の動きなどに対して、運転手がいかに細心の注意を払っているかに感心させられる。狭い道路をすれ違う技術、態度のあまり宜しくない乗客への対応、お年寄りや身体の不自由な方だけでなく、どの乗客も席に着くか、吊り革などをつかむまでは発車を待ってくださることにも。
バスの運転手さんは個性豊かで、運転の仕方も人によりだいぶ異なる。まだ車中で寝られるほど慣れてはいないが、大変なお仕事と知るにつれ信頼度は増している。そして何より、毎日お世話になっているスクールバスの乗り心地の良さに気づかされた。運転手の皆様、いつも有難うございます。(N)