芍薬をマッサージ

5月下旬になると、芍薬(しゃくやく)の切り花を買うのを楽しみにしている。開花までのハラハラ感(たまに開花しないまま枯れることがある)、姿の圧倒的な美しさと豪華さ、咲いてから5日ほどしかもたない儚さを含め、なんともドラマティックで目が離せないのだ。

今年購入した花は茎が細く、つぼみも小ぶりなため、添えられた注意書きを念入りに読む。
「つぼみをほぐす...水を含んだタオル等で表面の蜜を優しく拭き取ります。固いつぼみは指で優しくもみほぐしましょう。」... 害虫を防ぐために自ら出す蜜が開花を妨げるふたになるのは知っていたが、さらにマッサージまで必要だとは! 触ると確かにとても固いものもあり、半信半疑でコリをほぐしていく。力の加減が難しい。花びらがちぎれないよう、細心の注意を払う。

翌朝、つぼみはわずかに膨らんでいた。どうやら内部の破損は免れたらしい。帰宅して見ると、一番小さく固かったつぼみ(=施術済)が3倍ほどの大きさになり、真っ先に開花し始めているではないか。これはマッサージの効果なのだろうか? 初めて芍薬とコミュニケーションを取れた(気がした)。

カウンターでのレファレンスも、ちょうど良いタイミングで、ニーズにぴったり合う回答ができたらいいなと切に思う。「みどりのゆび(Green fingers)」を持つ人は、きっとレファレンスも上手に違いない。(N)