Google Maps さまざま

一人旅が好きな私にとって、旅の必須アイテムはスマートフォン、充電コード、そして地図アプリ(Google Maps)だ。

とは言え、スマホを使い始めてまだ3年半。以来ガイドブックを持たなくなったが、書店の旅行ガイドの棚も縮小されており、世の習いらしい。

実際、地図アプリは便利だ。電波が届き、電池がもつ間は必ず目的地へたどり着ける。道に迷いながらも寄り道ができる。思えば、3月の残雪に足を取られ、「事故」が頭をよぎった戸隠(長野県)の山道で、あるいは三輪山(奈良県)登拝の帰り道、何の標識もない所から遥か遠くに見えた駅へ向かう時、どれほどアプリに助けられたことか。

頼れる相棒にも弱点はある。急すぎる坂道でも、入りにくそうな路地であっても考慮されない。こちらも必死ゆえ従うが、すぐそばに良い道を見つけてがっかりする事も。

先日は、趣味で通う音楽教室の帰りに、推定50代のご婦人からあるホールの場所を尋ねられた。とっさにリュックの中の<相棒>を取り出そうとしてふと見ると、相手はスマホを手に持っていた。

 「方向はこちらですが、Google Maps で検索すると出てきますよ。」
 「見たのですが、分からなくて(すまなそうに)。」
 「(一瞬、言葉に詰まる)。一緒に見てご案内しましょうか。」
 「大丈夫です。有難うございます。」

仕事柄、相手には必要な情報を手にしてほしい。そのお手伝いのために図書館員はいる。プライベートであっても、それが叶わないとけっこう凹むのだ。無念さと共に後ろ姿を見送っていた。(N)