図書館ねこ再び

世界では様々なねこが活躍している。ロシアのエルミタージュ美術館では、ネズミ退治のために60匹以上のねこが放し飼いにされて勤務に励み、また、ロンドンには「首相官邸ネズミ捕獲長」なる肩書を持ったねこが、官邸にいるそうだ。

さて、欧米の図書館ではねこを飼っているところがあって、訪れる人たちの心を和ませ、癒しを与えてくれている。数年前、本欄で取り上げた、アメリカ・アイオワ州スペンサー公立図書館のデューイもそんな一匹だが、今回はまた別のねこたちの話。彼らのことは、『図書館ねこベイカー&テイラー』という一冊の本にまとめられている。「二匹のスコティッシュフォールドのねこたちが、分厚い本の上に前足を乗せて、まっすぐ前を見つめている」表紙の写真に惹かれて、早速読んでみた。1983年、アメリカ・ネヴァダ州ミンデンの図書館に、ネズミ駆除のために図書館に引き取られてから、15年後、二匹が亡くなるまでの日々が綴られている。本書の著者でもある司書のラウチさんはじめ、皆に可愛がられ、ポスター等でアメリカ中に知られるようになり、ファンクラブもできるほどの人気。町の内外から、ねこにあうのを楽しみに図書館に足を運ぶ人が増えたとか。スタッフたちは、その対応に大わらわであった、とも。

ただ、ねこたちがいなくなったあと、図書館では次のねこを飼うのをやめたそうだ。充分気を配ってはいたものの、ねこアレルギーの人から苦情があるなど、世の中全てねこ好きというわけではないので、なかなか難しいところだ。

一方、日本の図書館でねこを飼っているかというと、殆どそうした話は聞かない。そもそも、そうした発想がないのかも。ねこ駅長や店番をしているねこなどはいるのだが。(Y)