恵泉女学園大学

KEISEN Campus News by Teachers

教職員が恵泉にまつわる様々なことを紹介します。

夏を歩こう その3

2007年08月20日

夏らしいということ

各地で、40℃を越える、観測史上初の記録的な猛暑が続いています。

さて、皆さんは「夏を歩く」というタイトルから、どのような映像イメージを持たれるでしょうか。青い海と白い砂、入道雲の映像などが想起された方は、アウトドア派の方でしょう。それとも、朝まだき、濃い霧が木々の間を滑らかに縫っている避暑地の映像でしょうか。おっと、受験生の皆さんは、「夏は夜」という枕草子の一節を想起して、蛍の飛び交う光跡の映像でしょう。

さて、重い腰を上げて、記録的猛暑の中、小学校以来の暴挙を犯すことにしましょう。

8/17、40.8℃の記録的真夏日。近くのひまわり畑に向かうことにします。



ちょっと、平凡な映像ですね。接写だとどうでしょう。



うーむ、単体のひまわりは、イメージ的に「らしさ」が表現されません。人を入れて写してみましょう。



ちょっとはアートっぽくなったでしょうか。だんだん、熱中してきましたし(笑)。

ところで写真の人物は、男性でしょうか?女性でしょうか?

遠くてわからない?いえいえ、パラソルには、男性用がありません。もちろん、女性です。

単に、「夏を歩く」という外界の事象を切り取ったようにみえる写真も、実は、頭の中の「夏らしさ」という想念と照らし合わせながら、事象を選択的に選びとっています。

被災地などを報道する写真は、それが、事実ではありながら、圧倒的に女性と子供が多いことが知られています。事実かどうかより、報道する側の意識のフィルターが問題となります。

一生に一度の受験生の夏。皆さんは、どんな「夏らしさ」を経験されるでしょうか。

人文学部 日本語日本文化学科  川井章弘
担当科目:日本語表現 I (音声)  日本語研究 III(日本語教育)他

夏を歩こう その2

2007年08月10日

鮎の友釣り

山間に流れる川の中で、釣りをしている人を見かけることがあると思います。
川の中まで入って、長い竿を操っている人は、鮎を釣っている人です。
皆さんは、「鮎の友釣り」を知っていますか?

6月頃になると鮎は川の中で「なわばり」を持つようになります。この「なわばり」に他の鮎がくると背ビレを立てて攻撃して追い払う習性があります。この習性を利用して釣る方法が「友釣り」です。

したがって、友釣りは「えさ釣り」ではありません。「えさ」の変わりに「オトリ鮎」を使って竿先で操り、「なわばり」圏に侵入させ攻撃をしかけ、かけばりに掛かるのを待ちます。体当たりに近い攻撃力は、掛かるとガツーンと手応えともにぐいぐい引かれます。これが友釣りの醍醐味で、私はかれこれ12年、この釣りにハマっています。

実はこの友釣り、江戸時代から始まった世界に類を見ない日本独特の釣法で、日本の伝統文化なのです。

釣りをしないまでも、緑に囲まれた美しい清流の川原を歩いてみてください。
川のせせらぎや鳥のさえずり、虫の音を聞きながらのんびりと歩くと、日頃の疲れが吹っ飛びます。

歩いた後、どこかのお店に入って、鮎の塩焼きをお召し上がりください。
香魚の名前を持つ鮎は、他の魚にはない独特の香りと味わいが楽しめる夏だけの味覚。

がぶりと豪快にかみついて、鮎ならではの美味しさを堪能してください。




宇田川 篤(入試広報室長)

13日から15日までネットワーク停止につき、8月10日にアップしました。

夏を歩こう その1

2007年08月06日

学生とブルックリンを歩いた夏

昨年の9月4日のレイバー・デイの午前。季節外れの嵐は止んでいた。

私たちはマンハッタンの摩天楼を背にしながら、ブルックリン・ブリッジの木製の歩道を歩いている。
微風が心地よい。午後にブルックリン・ハイツで地下鉄に乗り、イースタン・パークウェイに向かった。

そこで重低音の心臓の鼓動のようなリズムの爆音を全身に浴びた。

ハイチ人を満載した大型トラックの山車の上からラップ・ミュージックか何かのシャウトがスコールのように降り注ぐ。訛りのあるフランス語の混じった言葉のようだ。ラテンのリズムが聞こえてくる。

カリブ系の黒人たちは原色のコスチュームを身にまとい、陶酔したかのように踊っている。バルバドス、ハイチ、ジャマイカといった鮮やかな色の国旗を手にした人々とすれ違う。自らの出自と文化を誇る黒い祝祭空間。

ここには場違いな黄色い肌に強い日差しが照りつけている。

学生たちは上半身を時に露にした黒人たちの海を縫うように進んでいった。肌にはじっとりとした汗がにじみ、強い香水と交じり合った体臭や肉汁の焦げた煙が鼻腔に押し入ってくる。

彼女たちははしゃいだり、リズムに合わせて身体を揺らしたりしていたが、段々無口になっていった。

今年のニューヨークで学生たちはどんな夏を歩くのだろうか。



写真上:ブルックリン・ブリッジ
写真中:ハイチ人を満載した大型トラックの山車
写真下:ブルックリン・ハイツからマンハッタンの摩天楼を望む


人間社会学部 国際社会学科 漆畑智靖
担当科目:短期フィールドスタディ(アメリカ合衆国)、国際政治学など

最近気になったニュース その4

2007年07月30日

「最近気になった出来事」

世の中では常にいろいろな出来事が起こっています。

スポーツの世界でも同様で、たとえば私の好きなサッカーでも最近では、U-20世界選手権、アジアカップと立て続けに大きな大会が開催されました。わが日本は、U-20はベスト16でチェコにPKで敗退し、アジアカップはディフェンディングチャンピオンであったにも係わらず、準決勝でサウジアラビアに2-3で負けました。

日本のサッカーは少しずつ技術、戦術共に向上してきていますが、いつもいいところで競り負けてしまいます。

この2つの大会だけを見ても、気づくのは勝敗を分けたのは、気迫、勝利への執着、そして何より集中力の持続だということです。基礎技術は進歩しているものの、その上で必要なことは集中力、そして諦めないという強い思いです。

人生は勝ち負けではありませんが、何事も粘り強く取り組むことが大切なんだな、と改めて感じさせてくれる出来事でした。

人間環境学科  齋藤謁
担当科目:人間形成基礎演習他

最近気になったニュース その3

2007年07月23日

運命は創るもの

台風に地震。天災のニュースに明け暮れた一週間でした。

その中にあって、大リーグ、オールスター戦で、MVPの栄冠を獲得し、世界一のプレーヤーに輝いたイチロー選手の活躍は一服の清涼剤になりました。

試合後、「今日は、3本のヒットが出ましたが......」という質問に「出ましたじゃなく、『出しました』。全然違います。」というやりとりがインタビュアーと何回か繰り返されました。そして、球宴史上初のランニングHRについて聞かれると、イチロー選手は「そうなんですか。僕にとっても初めてなんですよね。オールスターで『出る』なんて。」と答えています。

ヒットは意志として「出す」ものだが、結果としてのランニングHRは偶然「出た」ものだと、「意志と成り行き」、「必然と偶然」とを強く意識して、使い分けています。

また、それに先立つ一週間ほど前、将棋の世界で、羽生さんより先に「永世名人」を獲得した森内俊之名人の談話も興味深いものがあります。
「(永世名人は羽生さんであるという流れがある中で)、一生懸命やれば、そういう運命的な部分も自分の手で変えられるんだ。」。「名人は『選ばれる』ものではない(奪うものなのだ)。」と答えています。

最近、奇しくも、世界一の栄冠を獲得したお二人の口から、「自分が所属する世界」に対しての心構えが聞けたのは幸いでした。

私達は、毎朝のテレビで、占いや運命的な価値観がまるで天気予報のように垂れ流される世界に生きています。

しかし、人は、自らが、「世界」を変える可能性をもった者であると認識するとき、初めて、自らの置かれた「世界」に対する取り組み方を変えていけるように思います。

受験生の皆さん。成り行きとして流れる人生を、人生を作る主体の側から、世界と関わってみませんか。そのためにも、恵泉のオープンキャンパスに足を運ぶことから始めてみましょうね(^^)。

人文学部 日本語日本文化学科  川井章弘
担当科目:日本語表現 I (音声)  日本語研究 III(日本語教育)他