移動中の飛行機の中で~サンティアゴ巡礼道プログラムからの報告~

2020年02月14日

恵泉女学園大学・体験学習委員会主催のサンティアゴ巡礼道プログラムが始まりました。
このプログラムは2月10日~3月25日に実施されますが、参加する5人の本学の学生たちは、スペインの世界遺産でもあるこのキリスト教の祈りの道を合計約800キロ踏破する予定です。
旅の中で、学生たちは自分とは何かを問い続けるだけでなく、世界の平和、地球環境を考え、語り続けます。

「サンティアゴ巡礼道」シリーズ、第3弾となる今回の報告は、プログラム引率者の桃井和馬先生からのメッセージです。(掲載写真はプロの写真家でもある桃井先生の撮影したものです。 )

2020年2月11日
移動中の飛行機の中で

現在、スペインのバルセロナに向かって飛んでいる飛行機の中です。

途中トランジットで立ち寄るカタールのドーハまでおよそ11時間。次の飛行機まで3時間ほどで、乗り換えた後、再び6時間ほど飛んでスペインのバルセロナに到着するのです。北極圏を飛行する北周りではなく、南回りの長い飛行機移動。私は昔からこの飛行機での移動時間が好きです。時間が長くても、まったく気にならないのです。いえ、この時間こそ豊かなのです。

基本的にスマホを見ません。パソコンでもインターネットにアクセスしません。ここで基本的と書いたのは、このフライトでも、30分だけは、インターネットにアクセスできるようになったからです。飛行機の中でインターネット?! これまで人生の40年近くで旅を続けて来ましたが、いつでも、どこでもインターネットに接続できるようになるとは、考えてもいませんでした。

しかし、無料で使えるのは30分。それもあまり早くはないので、メールをチェックするだけに留めました。

日本の生活では、何をしていても、Lineやメールの通知が次から次へと飛び込んできます。そのたびに、仕事を一時中断し、最新の通知を確認し、必要とあれば、その場で文章を考え、返信します。ひとつのことに集中できる時間が、デジタルな今の世界を生きる人には、いかに少ないのか。それを痛感するばかりなのです。分断される思考。悠久とも思える時間と空間の中で、じっくりと己のこと、世界のことに思いを巡らせる機会の欠如。それが今の社会に生きる人の特徴なのではないでしょうか? そのことが、社会の中で、掴みようのない焦躁感を生み出しているのではないでしょうか?

飛行機での移動中は、30分だけWi-Fiにアクセスできるものの、それさえまだ仕事に耐えるだけのスピードでないため、簡単なメールのチェックを除き使いません。

11時間の豊かな時間。読めていなかった本を読み、見たかった映画を見る。たった11時間の、地上にはなかった豊かな時間。

本格的なAI時代を迎えた今、5Gになると、これまでの通信速度の100倍にもなるといいます。

果たして、人間は豊かになったのでしょうか?

動物としての人間が対応できる以上の早さと便利さを獲得した今、幾何級数的に息苦しさも増しているのではないでしょうか?

桃井和馬先生の教員紹介

サンティアゴ巡礼道プログラムについては学長の部屋でも紹介しております

東京新聞に今回のサンティアゴ巡礼道プログラムの記事が掲載されました。

桃井先生による過去の巡礼道体験記は昨年12月にNHKでも放映されました。
こころの時代~宗教・人生~「戦場から祈りへ」

本学は海外プログラムが盛んで、「国際性」の分野で3年連続 首都圏女子大1位の評価をいただいております。

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