山田昌弘編著 東洋経済新報社(367.4/Y)
就活(就職活動)をもじって「婚活」。本来厳粛であった筈の?結婚をこんな風に略してしまうと、何だかカルっぽくて少々抵抗があるのだが、本書の内容は至ってシリアス。独身者の多くは、いい人がいれば結婚したいと思っている。問題は男女間のミスマッチにあるわけで...。今どきの若者の結婚行動の実態を、様々な調査から解き明かす。(Y)
NHK「無縁社会プロジェクト」取材班編著 文芸春秋(368/N)
昨年7月に都内で発見された111歳の老人の遺体。実は、30年前に死亡していたらしい。家族が一緒に住んでいたのに何故? これはごく稀な事件かと思っていたら、相次いで似たような例が報告された。NHKでは、は、この事件をきっかけに、孤独死していく人たちに焦点をあてた番組を放送し、本書に纏めた。単身世帯が増える今、他人事とは思えず、無縁死にならないためにはどうしたらよいか、考えさせられる。(Y)
永田浩三著 柏書房(699.2/N)
2001年1月30日に放送された、NHK教育テレビ『ETV2001』、シリーズ「戦争をどう裁くか」の第二回「問われる戦時性暴力」の内容が、国会議員らの圧力によって放送前に改変された事件について、当時NHKの番組担当プロデューサーであった筆者の体験と思いがつづられている。(T)
ルース・シュウォーツ・コーワン著 法政大学出版局(590.2/C)
かつては家事労働は生産労働であった。主婦は、バター、パン、布、衣服を生産したが、今日では、その生産物は変わってきている。それは健康な人々(大人と子どもたち)、家庭から出かけて生産的な独立した生活をすることのできる人々、家庭の経済だけでなく自分たちが住んでいるコミュニティの経済にとっても欠かせない必要な人々を生産している。これが現代の家事の意味であり価値である。(T)
昭和女子大学短期大学部文化創造学科著 水声社(930.27/D89-S)
英国ミステリーといえばやはりこの2人、そしてヴィクトリア朝!-と思うのは私だけ?「ベッド」を知らない人はいないと思いますが、私たち庶民(!)が思い浮かべるベッドとクリスティの小説に出てくるベッドは全く違う!「ローズウッドの家具」とは何?などなど、本書を読めば、英国ミステリーだけでなく、イギリスの小説を読む楽しみが倍増することは間違いなし。(M)
下村健一著 岩波書店(361.45/S)
現在(4月4日)メディアはまだ震災・原発関連ニュースが中心となっている。一見、たくさんの情報が出ているように思えるが、重要なことが隠されているという声もある。また地震以外にも様々なことが世界中で起きているはずで、それはどうなっているだろうとも思う。ネット上には極端な意見が飛び交っているように思えるし・・・。結局自分の中に判断基準のようなものがないから右往左往してしまうのだろう。メディアの受け手が内容を見分ける能力を養わなければならない。本書がそのヒントになれば。(M)
トーマス・M・コスティジェン著 楓書店 (519/K)
インド、東南アジア、アメリカ、アマゾンなど、世界各地の環境問題の現状の深刻さにまず圧倒される。そして自分に一体なにができるのか?という無力感。しかし解決の道はひとりひとりが傍観者をやめ、行動に踏み出す以外にはないという。その立ち位置が、本書を「環境ガイドブック」ではなく、環境問題の現状の理解へといざなう「冒険小説」だと著者が称するゆえんかもしれない。(A)
山田登世子著 左右社(723.35/Y)
例えばルノワールの「舟遊びの昼食」。このタイトルは知らなくても、目にすれば「あぁこれね」と多くの人が思うであろう。光に満ちる野外に遊ぶ若さ溢れる男女達の昼食風景。さて「この絵の中に『娼婦』が何人いるでしょう?」と問う著者の答えは、女性「全員あやしい」。同時代の多数の風俗画やポスター、写真等を駆使しながら「誰も知らない印象派」が明かされていく。(A)